2021年1月FP2級  問18

たっくんさん
(No.1)
佐野さん(67歳)の2021年分の収入等は下記のとおりである。佐野さんの2021年分の
所得税における総所得金額を計算しなさい。なお、記載のない条件については一切考慮しないこ
と。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。
※ アルバイト収入は給与所得控除を控除する前の金額である。
※ 老齢厚生年金および企業年金は公的年金等控除額を控除する前の金額である。
※ 生命保険は養老保険(保険期間20年、保険契約者および満期保険金受取人は佐野さん)の満
 期保険金であり、既払込保険料(佐野さんが全額負担している)を控除した後の金額である。
 なお、契約者配当については考慮しないものとする。


既払込保険料(佐野さんが全額負担している)を控除した後の金額である。
これは何を控除したということなんでしょう?
2022.05.06 22:00
マルさん
(No.2)
お答えしますね。
養老保険の満期保険金を契約者が受け取っています。
契約者が保険料払ってて、その契約者自身が満期保険金を受け取っていますので、この満期保険金は一時所得となります。
一時所得は
(収入−経費)−50万(特別控除)で計算します。

この場合の経費ってなんでしょう?
今まで払ってきた保険料ですよね?
それが既払込保険料(既に払い込んだ保険料)なんです。

問題文を見ると満期保険金は既払込保険料を控除した後の金額と示されてます。
ここで上記の一時所得の計算式に戻ってください。
(収入−経費)−50万ですよね?
この内、経費である既払込保険料はもう控除したよと言う意味です。
つまり(収入−経費)までは計算したからねと言っているのと同じです。
じゃあ後は特別控除50万を引けば一時所得が求まりますよね。
2022.05.06 22:24
たっくんさん
(No.3)
マルさん
有難うございます。
問題文の〈収入〉の欄に記載ある
生命保険の満期保険金(一時金):50万円
とありますが、この50万円は、
受取金額から既払い保険料を引いた残りが50万円という認識でよろしいでしょうか?
そしてここから特別控除を引いたら0になるので
この答えは満期保険の分は0円という認識でいいでしょうか?
仮に、収入の欄が50万円ではなく100万円だった場合
そこから特別控除50万円を引いて更に1/2した金額が総所得に入る金額ってことでしょうか?
恐らく今まで分かってたつもりでしたが、色んな事が混ざってスランプに陥ってます。
初歩的な質問で申し訳ございません。
宜しくお願い致します。
2022.05.06 22:38
マルさん
(No.4)
いえいえ、みなさん損益通算は苦手とする項目ですから全然かまいませんよ。

そうです。
この問題文の資料の満期保険金50万はもう経費を引いた残りなんで、ここから特別控除50万引けば一時所得は0円となります。

仮に満期保険金が100万(既払込保険料控除後の金額)と提示されていれば100万から50万引いた額が一時所得となりますので、その50万を1/2した金額を総所得金額に足すと言うことで間違いないです。
2022.05.06 23:14
たっくんさん
(No.5)
マルさん
お忙しい中、分かりやすい解説有難うございました。
皆さんの質問に比べるとレベルも低くお恥ずかしい限りではありますが、質問して良かったです。
いい結果報告出来る様、残り約2週間突っ走ります。
本当にありがとうございました。
2022.05.06 23:23
マルさん
(No.6)
この問題の解説の下記の部分も割と重要です。

2020年分より給与所得と公的年金等の雑所得の合計額が10万円を超える人は、給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除(最高10万円)が適用されます。本問では給与所得が0円なので対象外となります。

給与所得の場合、普通の給与所得控除を引くだけでなく、2つさらに調整控除があります。
①給与収入が850万超の人の給与所得控除って上限の195万までしか給与所得控除できませんよね?
まあ金持ちではあるんですが、そんな人が本人が特別障害者だったり、23歳未満の扶養親族がいたり、同一生計配偶者や扶養親族が特別障害者だったらさらに、下記の式で計算した調整控除ができます。
(給与収入−850万)×10%
但し給与収入は1000万が上限です。つまり最高15万さらに給与収入から給与所得控除額195万以外に引けます。
まあ850万以上もらっててもこういう特別障害者がいたり、23歳未満の扶養親族がいれば金がかかるから、さらに調整してあげますよって話です。

②給与所得と公的年金の雑所得がある人の調整控除
これは給与所得(給与収入−給与所得控除額)と公的年金等の雑所得(年金収入−公的年金等控除額)がどちらもプラスになった人にする調整控除です。
式は
給与所得控除後の給与所得(但し上限10万)+公的年金等の雑所得(但し上限10万)−10万です。
つまり給与所得と公的年金等の雑所得がどちらもプラスなら、最大10万円、さらに給与所得から引けます。ポイントは給与も公的年金もそれぞれ給与所得控除、公的年金等控除引いた残りが両方にもあるならさらに調整してあげますからねと言う事です。
①は給与所得控除引く前の収入、②は給与所得控除引いた後の金額ですので、そこも引っ掛けるポイントです。

今回の解説は②の方が書かれてますが、結局給与所得がプラスにならず0円だったため適用しなかったと言うことです。
2022.05.06 23:53
マルさん
(No.7)
少しわかりにくかったかもしれませんので補足しますね。
まずは②の公的年金等控除との調整控除ですが、これは給与所得控除後の給与所得と公的年金等控除後の公的年金にかかる雑所得がどちらもプラスになったときに適用と書きました。それは正しいんですが両方足して10万超えないと適用ありません
例で説明すると
例1   給与所得控除後の金額:2万  公的年金等控除後の金額:5万
(2万+5万)−10万=−3万→調整控除適用なし
例2  給与所得控除後の金額:6万  公的年金等控除後の金額:5万
(6万+5万)−10万=1万→1万の調整控除
例3  給与所得控除後の金額:5万  公的年金等控除後の金額:15万
(5万+10万)−10万=5万→5万の調整控除
例3は公的年金等控除後の金額が15万と10万超えていたので上限10万が適用されているのがわかりましたでしょうか?
もう一つこの公的年金等控除との調整控除についてひっかけるポイントを書きます。あくまで「公的年金等にかかる雑所得」と言う点です。
以下に問題出してみましょうか。
給与所得控除後の金額と公的年金等以外の雑所得の合計が10万を超える場合、最大10万円の調整控除がある。○か?  ×か?

正解:×
調整控除できるのは公的年金等の雑所得の場合のため

次に①も少し補足しときます。
850万超えの給与収入がある人の調整控除の話です。
その中の23歳未満の扶養親族がいる場合の補足です。
この23歳未満の扶養親族って0歳〜23歳までの人ですからね。扶養控除のところで出てくるのが16歳以上じゃないと扶養控除適用できないと書いてあると思いますが、16歳以上の扶養親族を「控除対象扶養親族」と言います。扶養親族はもっと広く0歳からでも扶養親族なんです。
だからもし私が試験で引っ掛けるとしたらこんな問題出します。

給与収入が900万の人に3歳の扶養親族がいる場合、給与所得を出す際に給与収入から引ける控除額は195万だけである。○か?  ×か?

正解:×
23歳未満の扶養親族がいるため、調整控除として(900万−850万)×10%=5万円さらに調整控除として引ける。

どうですか?理解できましたでしょうか?
同じ事が障害者控除でも言えます。
これも問題出してみましょう。
3歳の子(一般障害者)が扶養親族の場合、障害者控除として27万を所得から控除できる(納税者本人は障害なし)。  ○か?  ×か?

正解:○
一般障害者が扶養親族の場合、27万の障害者控除を適用できる。
この障害者控除の「扶養親族」、後は寡婦控除とかの「扶養親族」も別に16歳以上じゃなくて良いんです。

こういう点を試験ではついてきます。なんか試験官に「本当に理解してる?」と思われているようで嫌な気分ですけどね。


2022.05.07 00:51
マルさん
(No.8)
最後の補足です。
少しわかりにくいかもしれませんが、一生懸命説明します。

②の給与所得と公的年金等控除との調整控除ができた理由について説明します。
まず基礎控除、今は最大48万ですが、昔といっても平成30年の税制改正のときなんで4年ほど前ですか。その時は38万でした。
まあ昔は今より基礎控除が10万少なくて、税制改正で10万増えたと理解してください(納税者にとってはラッキーですよね)

次に給与所得控除ですが、これは昔65万が最低額でした。今だに年配の方は65万が最低額と思ってらっしゃる方がいますが、今は最低額55万です。
これは税制改正で10万減らしました(納税者にとってはアンラッキーですよね)

最後に公的年金等控除です。そうですね、65歳未満の公的年金等控除の最低額、今は60万ですよね?ちなみに65歳以上は最低額110万です。しかし、昔は65歳未満は70万、65歳以上は120万が最低控除額でした。つまり昔に比べて10万減りました。こちらも今だに年配の人(私の父とかそうなんですが)、65歳未満は70万、65歳以上は120万だと言う人がいます。困ったもんです。

話がそれました。
以上をまとめると
基礎控除→10万アップ😀
給与所得控除→10万ダウン😭
公的年金等控除→10万ダウン😭

さて財務省(国税庁)は基礎控除を10万アップさせて、他を10万ダウンさせたからトントンでよくない?と思ったわけです。
でもよく考えてみて下さい。給与収入だけの人、または公的年金収入だけの人ならたしかにトントンで税額負担は変わりません。
しかし、給与収入と公的年金収入両方ある人考えてみてください。今は年金もらいながらまだ働いている人が多いですものね。
この両方の収入ある人、基礎控除10万増やしてくれたかもしれませんが、他の給与所得控除と公的年金等控除を10万減らされたせいで税金負担が前より増えてしまう結果になります。だって引けるものがダブルで20万も減らされたんですから、基礎控除10万増やしてくれたところで損ですよね。
その給与所得と公的年金等控除の税金負担増を緩和するために生まれたのが、この公的年金等控除と給与所得控除の調整控除なんですよ。
だから、最大10万だと理由もわかりますよね?
基礎控除10万アップ、しかし他の2つの控除額は合計で20万ダウン。
その差を埋めるため、調整控除10万までなんです。

理由を知った方が頭に残ると思い、長くなりましたが説明させていただきました。
2022.05.07 02:03
マルさん
(No.9)
最後と書きながら、もう一つ補足させてください。

①の給与収入が850万超の人に特別障害者や23歳未満の扶養親族がいた場合の調整控除ができた理由も、給与所得控除額を10万減らしたのが理由なんです。
実は昔は給与収入が660万超〜1000万以下は同じ計算式で給与所得控除を計算してました。
昔の計算式を書くと(給与収入660万超〜1000万以下)
給与所得控除額=給与収入金額×10%+120万
ちなみに1000万超からは220万が上限でした。

で法律改正で各控除額を10万減らしたときに、もう一つしたことがあります。
それが今まで660万超〜1000万以下まで同じ式で控除していたのを、区分を分けたんです。
それが850万のラインでした。
だから今の給与所得控除の計算式を見てもらうとわかりますが、
660万超〜850万以下→給与収入金額×10%+110万
850万超→195万(上限額)
このようになりました。

さて、これで困ったのが、今まで850万超〜1000万以下の給与収入だった人たちです。だって今まで660万超の人と同じ計算式で控除してくれていたのに、これからは195万だけ?
仮に850万ちょうどの給与収入の人と851万の給与収入の人で控除額出してみましょう。
今現在の式使いますからね。
850万の給与収入→850万×10%−110万=195万
851万の給与収入→195万(上限額)

850万ちょうどと850万超で同じ控除額になります。
今までは1000万以下までは同じ計算式で出してくれてたのに、不公平じゃないかと文句が出そうです。
そこで、財務省が考えたのが、「わかりました。今まで同じ計算式でやってきた850万超〜1000万以下だった人たち、あなたたちの大変な事情に応じて、少し控除を増やしてあげます。子育てしてる方、大変ですよね?特別障害者いる方、あなたたちも大変ですよね?あなたたちは850万との差額の10%を特別に調整控除して良いです。」
こうして生まれたのが、この調整控除なんです。
だからこの計算式の(給与収入−850万)×10%の給与収入は最高1000万なんです。
それは昔、同じ計算式で控除額を出していた名残りなんです。

年金制度とかもそうですが、なぜそんな制度が生まれたのか理由を知ると、使える知識に変わります。
後2週間、頑張ってください。
この私のコメントがこれを見て下さっている人の知識習得の少しでも助けになれば幸いです。
2022.05.07 05:49
マルさん
(No.10)
すみません。前のコメントの一部式間違えました
(誤)
今現在の式使いますからね。
850万の給与収入→850万×10%−110万=195万
851万の給与収入→195万(上限額)
(正)
今現在の式使いますからね。
850万の給与収入→850万×10%+110万=195万
851万の給与収入→195万(上限額)

プラスなのにマイナスと書いてしまいました。
申し訳ありませんでした。
2022.05.07 05:56
たっくんさん
(No.11)
マルさん
色々ありがとうございました😊
2022.05.07 12:25

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