経過的加算について
ささきこうやさん
(No.1)
2024.03.24 00:42
マルさん
(No.2)
おそらく真意はこれだろうと思い、長くなりますが説明いたします。
質問の真意は違うよと思われたら、遠慮なくおっしゃって下さい。
まず結論を先に述べて、その次にスレ主さんがそう疑問に思った補足をし、最後に例を出して実際に経過的加算額を出してみます。
結論ですが、経過的加算は人によって違うです。同じ金額に収束はしません。
人によってと書きましたが、違いが起こるのは厚生年金の被保険者期間の長さ、もっと言うと、老齢基礎年金に反映されない厚生年金の被保険者期間によって左右されます。
老齢基礎年金に反映されない厚生年金被保険者期間とは、わかりやすく言うと20歳前の厚生年金期間と60歳後の厚生年金期間です。
次に「経過的加算が同じ金額に収束する」と思ってしまった理由の修正と補足をします。
スレ主さんの書いた経過的加算=定額部分-老齢基礎年金の受給額に原因があります。
この式の後半部分が認識のずれを起こしています。
色んなテキストに経過的加算の計算式が載っていると思いますが、だいたい下記のような感じじゃないですか。
経過的加算=定額部分-(老齢基礎年金満額×20歳~60歳までの厚生年金被保険者月数/480)
カッコはわかりやすいように入れてます。
このカッコでくくった部分で何を計算しているか。
それは先ほど少し触れた厚生年金被保険者期間のうち、老齢基礎年金に反映される部分を計算しています。
定額部分は定額単価に厚生年金の被保険者月(ただし上限480月)をかけて計算します。
定額部分=定額単価(2023年度は1657円)×厚生年金の被保険者月数(上限480月)
定額単価は2023年度は68歳以上の方の金額でもう一つ存在していますが、混乱するといけないので1657円を使います。
また、老齢基礎年金の満額も2023年度は2つありますが、同じ理由から795000円を使います。
では経過的加算の式を上で出てきた数字を入れてまとめてみます。
経過的加算=1676円×厚生年金月数(上限480月)-795000円×20歳~60歳までの厚生年金月数/480
式の前半の定額部分の計算式の厚生年金月には、20歳前や60歳後の月数も含まれています。
それに対して後半は20~60歳までの厚生年金の月数です。
この式をみてもらうと、私が先ほど言った「経過的加算は老齢基礎年金に反映されない厚生年金月数で変わる」が理解できると思います。
では実際に事例で経過的加算を出してみようと思います。
どちらも老齢基礎年金は満額である795000円の人を登場させます。
①20歳~22歳まで(24月)は国民年金1号で納付済。
22歳~62歳(480月)まで厚生年金被保険者。
②20歳~60歳(480月)まで厚生年金被保険者。
①の経過的加算額
1676×480月-795000円×456月/480
=49230円
②の経過的加算額
1676×480月-795000円×480月/480
=9480円
どうですか。①の式で456月で計算している理由がわかりますでしょうか。①の人は22歳から厚生年金加入なんで、60歳までの厚生年金加入は456月です。
①も②も厚生年金加入は同じ480月なのに、更に老齢基礎年金はどちらも満額の795000円もらえるのに、経過的加算がこうも違います。
それは何が影響しているのか。老齢基礎年金に反映されない厚生年金の期間が影響しています。
今回の例では60歳後の期間を登場させましたが、20歳前の厚生年金期間も同じです。
ちなみに、5月試験受験ですか。
5月試験なら、2023年度の金額の計算で問題ありませんが、9月試験なら2024年度の金額で計算となります。
2024年度は年金額UPしてます。まあ、そこは管理人さんが法改正情報で出してくれるでしょう。管理人さんの5月終わった後の改訂作業の苦労がしのばれます。
上記の知識は学科はともかく、実技で役にたちます。
とくにきんざいで受験の人は覚えていて損はないですよ。とは言ってもきちんと計算式があたえられるので、ちゃんと代入して計算できれば問題ありませんけど。
2024.03.25 23:17
ささきこうやさん
(No.3)
とても分かりやすい説明で、私が知らなかった部分まで教えていただき、とても勉強になりました。
説明してくださったとおり、かっこの中の認識のずれから、間違った考えに至っていたことを確認することができました。本当に助かりました。ありがとうございました。
2024.03.26 17:14
ささきこうやさん
(No.4)
厚生年金の保険料には国民年金保険料も加わっている。→「20歳以上60歳未満」以外で納めた厚生年金保険料には、国民年金保険料も加えられている。だがその分は、老齢基礎年金に反映されないので、それでは損であるから、経過的加算によって加算される。上限は480月。
2024.03.27 00:00
マルさん
(No.5)
その考えは厳密に言って誤りです。
65歳未満の厚生年金被保険者は国民年金の2号被保険者ですが、厚生年金被保険者個人単位で見ると、自分が払っている厚生年金保険料に国民年金保険料が含まれている訳ではありません。
正しく言うと、厚生年金被保険者全体で集めた保険料が「基礎年金拠出金」と言う形で国民年金全体の給付に使われているんです。
よく年金は相互扶助だと言われますが、日本の年金制度は「自分のために払っている」わけではないんです。
働ける世代が、年をとって働けなくなった人(老齢年金)、病気や事故で障害が残りうまく働けない人(障害年金)、大黒柱を亡くして困っている人(遺族年金)を支える仕組みなんです。
話が脱線しましたが、経過的加算がある理由は、年金制度の歴史に由来します。
話すと長くなりますが、元々国民年金、厚生年金、今は厚生年金に統合しましたが、共済年金はそれぞれ別々の制度だったんです。
自営業者は国民年金、サラリーマンは厚生年金、公務員は共済年金とまったく違う制度として歩んでいたんです。
年金受けとる年齢も違う、受けとる金額も違う制度だったんです。それを1986年に全国民共通の制度にしたんです。国民年金の1号、2号、3号が生まれたのもこの年です。全国民共通の土台の制度として、国民年金をもってきたんです。
ちょっと例えが変かもしれませんが、日本、韓国、中国それぞれ文化や習慣も違いますが、ある日突然「君たち、みんなアジアで同じだよね」と言われた感じです。
それまでの厚生年金の中身の期間を元にした部分(これが定額部分です)、報酬(給料)をベースにした部分(これが報酬比例部分です)に着目した時の政府は、制度の統合した際に「あ、この定額部分ってやつ土台である基礎年金考えるのに使えんじゃね?」と思ったんです。
定額部分が期間を元にしてたから、「じゃあ、このうち20~60歳までのを基礎年金に移したら良い」と考えました。だから定額単価なる数字を作り出したんです。
定額単価1676円をよく見てください。
老齢基礎年金満額の795000円を20~60歳までの月数480で割ってみてください。
定額単価に非常に近い数字になると思います。そうなるように決めたんです。
でも完全に同じ数字になるわけではないし、第一それまで定額部分として払っていたのは、20~60歳までの厚生年金期間だけではありませんでした。
こうして、その差額を埋めるためのものとして、経過的加算が誕生したんです。
この経過的加算はこれからも多分なくなりません。なぜかというと定額単価と基礎年金満額を480で割った数は完全に一致することはないからです。
2024.03.27 21:19
ささきこうやさん
(No.6)
2024.03.28 00:22
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