生命保険(全154問中19問目)

No.19

生命保険の保険料等の一般的な仕組みに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2023年5月試験 問11
  1. 収支相等の原則は、保険会社が受け取る保険料等の総額が、保険会社が支払う保険金等の総額と等しくなるように保険料を算定する原則をいう。
  2. 保険料のうち、将来の保険金等の支払財源となる純保険料は、予定死亡率に基づいて計算され、保険会社が保険契約を維持・管理していくために必要な経費等の財源となる付加保険料は、予定利率および予定事業費率に基づいて計算される。
  3. 終身保険について、保険料の算定に用いられる予定利率が引き上げられた場合、新規契約の保険料は安くなる。
  4. 保険会社が実際に要した事業費が、保険料を算定する際に見込んでいた事業費よりも少なかった場合、費差益が生じる。

正解 2

問題難易度
肢18.7%
肢250.4%
肢332.0%
肢48.9%

解説

  1. 適切。収支相等の原則とは、保険会社の収入と支出が等しくなるように保険料を算定する原則です。保険会社の収入は、保険会社が受け取る保険料と運用益の合計であり、保険会社の支出は、保険会社が支払う保険金と保険会社の運営費などの経費の合計です。
    収支相等の原則は、保険会社が受け取る保険料等の総額が、保険会社が支払う保険金等の総額と等しくなるように保険料を算定することをいう。2024.9-12-2
    収支相等の原則は、保険会社が受け取る保険料等の総額が、保険会社が支払う保険金等の総額と等しくなるように保険料を算定する原則をいう。2021.9-11-1
  2. [不適切]。予定利率は、付加保険料ではなく、純保険料の算定の基になる基礎率なので誤りです。
    純保険料
    死亡保険金・生存保険金の給付財源に充てられる部分で、予定死亡率と予定利率を基に算定される
    付加保険料
    保険会社が保険契約を維持・管理していくための必要経費に充てられる部分で、予定事業費率をもとに算定される
    2/320.png/image-size:450×135
    契約者が支払う保険料は、保険金等の支払財源となる純保険料と、保険会社が保険事業を運営・管理していくために必要な経費等の財源となる付加保険料から構成されている。2024.9-12-4
    保険料は、将来の保険金等の支払いの財源となる純保険料と、保険会社が保険契約を維持・管理していくために必要な経費等の財源となる付加保険料で構成されている。2023.1-12-1
    保険料は、将来の保険金・給付金等の支払い財源となる純保険料と、保険会社が保険契約を維持・管理していくために必要な経費等の財源となる付加保険料で構成される。2022.9-11-2
    保険料は、将来の保険金・給付金等の支払いの財源となる純保険料と、保険会社が保険契約を維持・管理していくために必要な経費等の財源となる付加保険料で構成される。2021.9-11-2
    保険料の内訳は、将来の保険金・給付金等の支払いの財源となる純保険料と、保険会社が保険契約を維持・管理していくために必要な経費等の財源となる付加保険料とに分けられる。2019.5-11-1
  3. 適切。予定利率が引き上げられると、保険料の運用による収益見込額が増加します。運用益が多くなりますから、収支相等の原則により、同じ収入を確保するために集めるべき保険料は少なくて済みます。よって、新規契約の保険料は安くなります。
    終身保険の死亡保険金の支払いに充てるために必要な保険料の計算に用いられる予定死亡率が高く設定された場合、新規契約の保険料は安くなる。2023.1-12-3
  4. 適切。費差益は、予定していた事業費よりも、実際に要した事業費のほうが少なかった場合に生じます。死差益、利差益、費差益は、予定値と実績値の差異によって生じる利潤であり、生命保険の3利源と呼ばれます。
    死差益(しさえき)
    実際の死亡率が予定死亡率よりも低かったときに得られる利潤
    利差益(りさえき)
    実際の運用収入が予定していた運用収入よりも多かった時に得られる利潤
    費差益(ひさえき)
    実際の事業費率が予定事業費率よりも低かったときに得られる利潤
    保険会社が実際に要した事業費が、保険料を算定する際に見込んでいた事業費よりも多かった場合、費差益が生じる。2022.9-11-4
    保険会社が実際に要した事業費が、予定していた事業費よりも少なかった場合、費差益が生じる。2021.9-11-4
したがって不適切な記述は[2]です。