損害保険(全106問中30問目)

No.30

損害保険による損害賠償等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2021年5月試験 問15
  1. 失火の責任に関する法律によれば、失火により他人に損害を与えた場合、その失火者に重大な過失がなかったときは、民法第709条(不法行為による損害賠償)の規定が適用される。
  2. 個人賠償責任保険では、被保険者が通学のため自転車を走行しているときに歩行者に衝突してケガを負わせたことについて、法律上の損害賠償責任を負った場合、補償の対象となる。
  3. 施設所有(管理)者賠償責任保険では、被保険者が営む飲食店の店舗の床が清掃時の水で濡れていたことにより滑って転倒した来店客がケガをしたことについて、法律上の損害賠償責任を負った場合、補償の対象となる。
  4. 生産物賠償責任保険(PL保険)では、被保険者が製造した商品の欠陥が原因で、商品を使用した者がケガをしたことについて、法律上の損害賠償責任を負った場合、補償の対象となる。

正解 1

問題難易度
肢155.0%
肢210.7%
肢317.9%
肢416.4%

解説

  1. [不適切]。失火責任法は不法行為責任(709条)の例外を定める特別法です。故意や重大な過失がある場合を除いて、失火(過失による火事)により他人の財物や権利に損害を与えても賠償する責任を負いません。
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    失火の責任に関する法律によれば、失火により他人に損害を与えた場合、その失火者に重大な過失がなかったときは、民法第709条(不法行為による損害賠償)の規定が適用される。2022.5-15-3
  2. 適切。個人賠償責任保険では、日常生活における偶然の事故により生じた、法律上の賠償責任の損害に対して保険金が支払われます。通学のため自転車を走行していて歩行者に衝突しケガを負わせたケースも、日常生活における偶然の事故であり、個人賠償責任保険の補償の対象となります。
    自動車保険の対人賠償保険では、被保険者が被保険自動車の運転中に起こした事故が原因で、兄弟姉妹がケガをしたことにより法律上の損害賠償責任を負った場合、補償の対象となる。2022.5-15-2
    対人賠償保険では、被保険者が被保険自動車の運転中の事故により配偶者にケガをさせた場合、補償の対象とならない。2019.9-15-3
    対人賠償保険では、被保険者が被保険自動車の運転中の事故により同居している自分の子にケガをさせた場合は、補償の対象とならない。2017.5-17-4
  3. 適切。施設所有(管理)者賠償責任保険は、保有・管理している施設内で、施設自体の構造上の欠陥、維持管理の不備、業務活動に基因する事故が発生した場合に、その損害賠償を補償する保険です。そのため、飲食店の床が掃除で濡れており来店客がケガをした事案は、施設所有(管理)者賠償責任保険の補償対象となります。
  4. 適切。生産物賠償責任保険(PL保険)は製造・販売・提供した商品・サービスが他人に引き渡された後、その欠陥によって生じた事故による対人・対物損害賠償に備える保険です。そのため、被保険者が製造した商品の欠陥が原因で、商品を使用した者がケガをしたという事案は、生産物賠償責任保険(PL保険)の補償対象となります。
    生産物賠償責任保険(PL保険)では、被保険者が製造した商品の欠陥が原因で、商品を使用した者がケガをしたことにより法律上の損害賠償責任を負った場合、補償の対象となる。2022.5-15-4
したがって不適切な記述は[1]です。