不動産の取引(全95問中62問目)

No.62

不動産の売買契約において、売主から買主が不動産の引渡しを受けた後、契約に適合しない事実があることが発見された場合における民法に基づく担保責任に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、売主および買主は、宅地建物取引業者ではないものとする。
2016年9月試験 問43
  1. 売買契約に担保責任に関する特約がない場合、買主が担保責任に基づく権利を行使するためには、買主は、契約不適合が売主の責めに帰すべき事由により生じたものであることを立証しなければならない。
  2. 売買契約に担保責任に関する特約がない場合、買主は、契約不適合がある事実を知った時から3年以内であれば、担保責任に基づく権利を行使することができる。
  3. 売買契約に売主が担保責任を負わない旨の特約があったとしても、売主が知りながら買主に告げなかった契約不適合については、担保責任を負わなければならない。
  4. 売買契約締結が宅地建物取引業者の媒介によるものであり、売主に対して担保責任に基づく権利を行使できるとき、買主は、その宅地建物取引業者に対しても当該権利を行使することができる。

正解 3

問題難易度
肢17.3%
肢24.4%
肢378.2%
肢410.1%

解説

  1. 不適切。売主の担保責任は原則として無過失責任です。契約不適合につき売主に帰責事由がなくても、買主は、売主の担保責任を追及できます。ちなみに、損害賠償請求では債務者の帰責事由が必要ですが、帰責事由がないことの立証責任は債務者(売主)側にあります。
    担保責任に関する特約が締結されていない場合、買主が担保責任に基づく権利を行使するためには、買主は、契約不適合が売主の責めに帰すべき事由により生じたものであることを立証しなければならない。2015.10-42-1
    担保責任に関する特約が締結されていない場合、買主が担保責任に基づく権利を行使するためには、民法上、買主は、その不適合がある事実を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければならない。2015.10-42-2
    買主が売主に対して担保責任に基づく権利を行使するためには、買主は、その契約不適合が売主の責めに帰すべき事由により生じたものであることを立証しなければならない。2014.9-43-1
  2. 不適切。民法では、買主が売主の担保責任を追及する場合、買主はその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければならないとされています。3年ではありません。また担保責任の追及権には消滅時効の適用があるので、権利行使できる時から10年経過すると権利が消滅します。
  3. [適切]。民法の担保責任の規定は任意規定ですので、特約で担保責任の責任期間を短くしたり、全部または一部を免除したりすることができます。しかし、売主が知りながら買主に告げなかった契約不適合については、特約があっても責任を免れることはできません。
    担保責任を負わない特約が定められていても、民法上、売主は、知っていて買主に告げなかった契約不適合については、担保責任を負わなければならない。2015.10-42-3
  4. 不適切。担保責任は売主に課せられる責任ですので、売買を媒介(仲介)したに過ぎない宅地建物取引業者は担保責任を負いません。
したがって適切な記述は[3]です。