相続と法律(全76問中1問目)

No.1

任意後見制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2024年9月試験 問54
  1. 任意後見制度では、本人が十分な判断能力を有しているときに、本人が、任意後見人となる者や委任する事務を契約によりあらかじめ定めておくことができる。
  2. 任意後見契約は、所定の様式の公正証書によってしなければならない。
  3. 任意後見契約は、本人の判断能力が低下して事理を弁識する能力が不十分な状況となった時からその効力が生じる。
  4. 任意後見監督人は家庭裁判所により選任されるが、任意後見人の配偶者、直系血族および兄弟姉妹は任意後見監督人となることができない。

正解 3

問題難易度
肢15.5%
肢216.8%
肢339.0%
肢438.7%

解説

  1. 適切。任意後見制度は、将来の判断能力低下に備えて、本人が選任した任意後見人との間で任意後見契約をしておく制度です。将来、認知症や精神障害などにより判断能力が低下した場合に、任意後見人に代わりにしてほしい事務を決めておくことができます。
  2. 適切。任意後見契約は、任意後見契約法の定めに基づき、所定の様式の公正証書で締結しなければなりません。公証人が関与することで、委任者本人の意思と判断能力をしっかりと確認し、契約内容を法律に従ったものにするためです。
    任意後見契約は、公正証書によって締結しなければならない。2014.9-52-4
  3. [不適切]。任意後見契約の効力は、裁判所が任意後見監督人の選任をした時から生じます。これは任意後見契約の要件となっています。
    本人の判断能力が低下した場合、本人や親族、任意後見受任者等から家庭裁判所に対して任意後見監督人の申立てを行います。家庭裁判所が任意後見監督人を選任すると任意後見が開始するという流れになります。
  4. 適切。任意後見監督人は、任意後見人が任意後見契約の内容どおりに職務を正しく行っているかどうかを監督する人です。監督の独立性を保つため、任意後見人と近い親族である任意後見人の配偶者や直系血族、兄弟姉妹は任意後見監督人になることができません。家庭裁判所により、第三者である弁護士や社会福祉士などが任意後見監督人として選任されることが多いです。
したがって不適切な記述は[3]です。