不動産の相続対策(全27問中14問目)

No.14

遺産分割対策に関する次の一般的な記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2017年9月試験 問59
  1. 遺言により遺産分割方法を指定しておくことは、遺産分割における共同相続人間のトラブルの発生を防止するのに効果的である。
  2. 財産の大半が不動産である場合、不動産の一部を売却し、現金化しておくことは、遺産分割対策として有効な方法の一つである。
  3. 代償分割を予定している場合、特定の財産(遺産)を取得する相続人は、他の相続人に対して代償債務を負担しなければならないため、相続開始前に代償債務の履行財源(現金その他の財産)を確保しておくことが望ましい。
  4. 代償分割により特定の財産(遺産)を取得した相続人から他の相続人に交付された代償財産が不動産や株式であっても、その不動産や株式を交付した相続人には、譲渡所得として所得税が課せられることはない。

正解 4

問題難易度
肢11.1%
肢28.3%
肢38.0%
肢482.6%

解説

  1. 適切。あらかじめ遺言書を作成し、共同相続人の相続分や遺産分割の方法を指定しておけば、相続人の間で生じ得るトラブルの防止になります。
    公正証書遺言により相続分や遺産分割方法を指定しておくことは、遺産分割における相続人間のトラブルの発生を防止する対策として効果的である。2021.5-58-4
    公正証書遺言により遺産分割方法を指定しておくことは、遺産分割における相続人間のトラブルの発生を防止する対策として効果的である。2019.5-59-1
  2. 適切。分割の難しい不動産は、相続開始前に分割しやすい資産に変換しておくことで相続人の間で代償分割や売却の問題が生じることを防げます。
  3. 適切。代償分割は、共同相続人のうち特定の者に相続財産の現物を取得させ、その取得した相続人が、他の相続人に対して代わりとなる自己の財産(代償財産)を交付する方法です。代償分割を予定する予定相続人は、他の相続人に渡す自己財産を確保しておくことが望まれます。
    代償分割を予定している場合、特定の財産(遺産)を取得する相続人は、他の相続人に対して代償債務を負担しなければならないため、相続開始前に代償債務の履行財源(現金その他の財産)を確保しておくことが望ましい。2019.5-59-4
  4. [不適切]。代償分割により金銭以外の資産が代償財産として交付された場合、当該資産は通常の取引により譲渡があったものとみなされます。このため、代償財産が不動産や株式である場合は、交付した者に対して譲渡所得として所得税が課税されることがあります。
    代償分割により特定の財産(遺産)を取得した相続人から他の相続人に交付された代償財産が不動産や株式であっても、その不動産や株式を交付した相続人には、譲渡所得として所得税が課されることはない。2021.5-58-2
したがって不適切な記述は[4]です。