相続と法律(全76問中24問目)

No.24

民法上の遺言に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2022年1月試験 問56
  1. 遺言は、未成年者であっても、満15歳以上の者で、かつ、遺言をする時にその能力があれば、法定代理人の同意を得ることなく単独ですることができる。
  2. 遺言者が自筆証書遺言に添付する財産目録をパソコンで作成する場合、当該目録への署名および押印は不要である。
  3. 公正証書遺言を作成する際には、証人2人以上の立会いが必要とされる。
  4. 遺言者が法務局における自筆証書遺言書保管制度を利用した場合、その自筆証書遺言について、相続開始後の家庭裁判所の検認手続きは不要である。

正解 2

問題難易度
肢112.5%
肢265.1%
肢36.6%
肢415.8%

解説

  1. 適切。15歳に達した者は、遺言をすることができます。遺言をするためには有効に意思を表示する精神的な能力(意思能力)が必要とされているため、遺言は満15歳以上かつ意思能力のある者ができるということになります。
    未成年者が遺言をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。2021.9-53-3
    遺言は、未成年者であっても、満15歳以上の者で、かつ、遺言をする時にその能力があれば、法定代理人の同意を得ることなく単独ですることができる。2020.9-54-1
  2. [不適切]。自筆証書遺言に添付する財産目録については、自書によらずにパソコンで作成することができます。遺言との一体性を証明するため、自書によらない財産目録の各ページには遺言者の署名押印が必要です。
    自筆証書遺言の作成に当たって、自筆証書にこれと一体のものとして添付する財産目録をパソコンで作成する場合、その財産目録への署名および押印は不要である。2024.5-56-2
    遺言者が自筆証書遺言に添付する財産目録をパソコンで作成する場合、当該目録への署名および押印は不要である。2023.9-56-2
  3. 適切。公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成する遺言です。
    公正証書遺言の作成において、遺言者の配偶者は証人として立ち会うことができない。2024.5-56-1
    公正証書遺言の作成において、遺言者の推定相続人とその配偶者は証人として立ち会うことができない。2023.9-56-3
    公正証書遺言を作成する際には、証人2人以上の立会いが必要とされる。2023.5-54-1
    公正証書遺言を作成した遺言者は、その遺言を自筆証書遺言によって撤回することができる。2023.5-54-2
    公正証書遺言を作成する場合において、遺言者の推定相続人は、証人として立ち会うことができない。2022.5-56-4
    公正証書遺言を作成した遺言者は、その遺言を自筆証書遺言によって撤回することはできない。2020.9-54-3
    公正証書遺言を作成する場合において、遺言者の配偶者は証人として立ち会うことはできない。2020.9-54-4
    公正証書遺言は、その作成時において遺言者が所有するすべての財産について受遺者を指定しなければならない。2015.1-56-1
    公正証書遺言の作成時において、遺言者の配偶者が証人として立ち会うことはできない。2014.1-54-2
  4. 適切。2020年7月から自筆証書遺言を法務局で安全に保管する「自筆証書遺言書保管制度」が開始しています。自筆証書遺言は改ざんや変造のおそれがあるため、相続開始後、自筆証書遺言の保管者や発見者は家庭裁判所に検認を申し立てなければなりませんが、「自筆証書遺言書保管制度」で保管されていた遺言については、偽造や変造のおそれがないため検認手続きが不要になります。
    自筆証書遺言書保管制度により法務局(遺言書保管所)に保管されている自筆証書遺言は、遺言者の相続開始後、家庭裁判所の検認が不要である。2024.5-56-4
    自筆証書遺言は、自筆証書遺言書保管制度により法務局(遺言書保管所)に保管されているものであっても、相続開始後に家庭裁判所の検認を受けなければならない。2023.5-54-4
したがって不適切な記述は[2]です。