相続と法律(全76問中3問目)

No.3

民法における配偶者居住権に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2024年9月試験 問56
  1. 被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していなかった場合であっても、当該建物について配偶者居住権を取得することができる。
  2. 被相続人の財産に属した建物について、被相続人が相続開始の時に被相続人の配偶者以外の者と共有していた場合、被相続人の配偶者は、当該建物について配偶者居住権を取得することができない。
  3. 配偶者居住権を取得した配偶者は、配偶者居住権の目的となっている建物の所有者の承諾を得たうえで、第三者に当該建物の使用または収益をさせることができる。
  4. 配偶者居住権の目的となる建物の全部が滅失して使用および収益をすることができなくなった場合、配偶者居住権は消滅する。

正解 1

問題難易度
肢144.0%
肢224.4%
肢323.3%
肢48.3%

解説

  1. [不適切]。配偶者居住権は、配偶者が相続開始時に被相続人の所有する建物に居住していた場合に限り成立します。配偶者居住権の目的は、被相続人と同居していた配偶者がそのまま自宅に住む権利を保護することであり、別居していた場合には保護に値しないためです。
    被相続人の配偶者は、居住建物を被相続人と被相続人の子が相続開始時において共有していた場合であっても、当該建物に係る配偶者居住権を取得することができる。2023.5-60-3
    被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始時において居住していなかった場合であっても、当該建物に係る配偶者居住権を取得することができる。2023.5-60-4
  2. 適切。居住建物に被相続人以外の共有者がいる場合には、配偶者居住権は成立しません。第三者である共有者に、終身にわたる無償の使用収益を受忍する負担を負わせるのは酷であるためです。
  3. 適切。建物の所有者の承諾を得ていれば、配偶者居住権が設定されている建物を増改築したり、第三者に使用収益をさせたりすることができます。第三者に使用収益をさせるとは、他人に貸し出して賃料を得るケースなどが挙げられます。
  4. 適切。配偶者居住権が設定されている建物の全部が、火災や地震等により滅失・倒壊して使用収益できない状態になった場合、配偶者居住権は消滅します。
したがって不適切な記述は[1]です。