相続と税金(全61問中52問目)

No.52

相続税の納税資金対策に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2014年9月試験 問59
  1. 相続税の納税資金対策として、被相続人が生前に相続人に対して保険料相当額の金銭を贈与し、契約者(=保険料負担者)および死亡保険金受取人を相続人、被保険者を被相続人とする生命保険に加入する方法がある。
  2. 相続税の延納を選択する場合、延納の担保として提供することができる財産は、相続または遺贈により取得した財産に限られる。
  3. 抵当権の目的となっている不動産を相続した場合、当該不動産を売却して相続税の納税資金を捻出することは困難であるため、当該不動産を優先的に物納財産に充当するのが有効である。
  4. 相続税の納税資金に充てるため、相続人が相続開始前から所有していた不動産を売却する場合、所定の要件を満たせば、譲渡所得の金額の計算上、納付すべき相続税額のうちの一定の金額を取得費に加算することができる。

正解 1

問題難易度
肢138.4%
肢211.4%
肢312.2%
肢438.0%

解説

  1. [適切]。生前に相続人に保険料相当額を贈与し、契約者(=保険料負担者)および死亡保険金受取人を相続人、被保険者を被相続人とすると、死亡保険金が特定の相続人に入ります。このようにすると「お金に名前を付けて残す」ことができるので、その相続人に納税資金を残すために有効です。
  2. 不適切。相続税を延納する場合、担保を提供しなくてはいけません。担保財産は、相続や遺贈により取得した財産に限られず、相続人固有の財産でも第三者が所有する財産でもよいことになっています。
    相続税の延納を申請するに当たって、担保として提供することができる財産は、相続または遺贈により取得した財産に限られる。2021.3-60-2
    相続税の延納を申請するに当たって、担保として提供することができる財産は、相続または遺贈により取得した財産に限られる。2016.5-59-1
  3. 不適切。抵当権等の担保権が設定されている不動産は、管理処分不適格財産であるため相続税の物納に充てることはできません。
  4. 不適切。相続や遺贈により取得した財産を、相続の申告期限から3年(相続開始から3年10か月)以内に譲渡した場合には、相続税額のうちその財産に対応する金額を譲渡所得計算上の取得費に加算することができます(取得費加算の特例)。しかし、相続開始前から所有していた不動産の譲渡には本特例を使うことはできません。
したがって適切な記述は[1]です。