事業承継対策(全20問中8問目)
No.8
非上場企業の事業承継対策に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。2019年9月試験 問60
- オーナー経営者が保有している自社株式を役員である後継者に取得させる場合、後継者にとってその取得資金の負担が大きいときには、あらかじめ後継者の役員報酬を増加させるなどの対策を講じることが考えられる。
- 自社株式の評価額を引き下げるためには、積極的な費用計上を行って利益を圧縮することや、新規取引先に対する金銭債権のうち回収可能性があるものについても債権放棄により貸倒損失を計上することなどが望ましい。
- オーナー経営者が死亡したときの相続税額の負担を軽減するため、その経営者が保有する自社株式の大半を経営に関与しない第三者に生前に移転しておくことが望ましい。
- 「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」の対象となる非上場株式は、後継者が受贈前にすでに有していた非上場株式を含めて、発行済議決権株式総数の2分の1に達するまでの部分に限られる。
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正解 1
問題難易度
肢166.6%
肢29.9%
肢311.2%
肢412.3%
肢29.9%
肢311.2%
肢412.3%
分野
科目:F.相続・事業承継細目:9.事業承継対策
解説
- [適切]。オーナー経営者が保有している自社株式を役員である後継者に取得させる場合、後継者がその株式の購入費用及び取得に係る贈与税額を負担することになります。株式を移転する際の資金負担を軽減させるために、後継者の役員報酬を増加させておくことは有効な対策です。経営者が保有している自社株式を役員である後継者に取得させる場合、後継者にとってその取得資金の負担が大きいときには、あらかじめ後継者の役員報酬を増加させるなどの対策を講じることが考えられる。(2020.9-60-2)オーナー経営者が保有している自社株式を役員である後継者に取得させる場合、後継者にとってその取得資金の負担が大きいときには、あらかじめ後継者の役員報酬を増加させるなどの対策を講じることが考えられる。(2017.1-59-2)オーナー経営者が保有する自社株式を役員である後継者が取得する際の後継者の資金負担が心配される場合、あらかじめ、後継者の役員報酬を増やす等により相当の金融資産を確保しておく方策が考えられる。(2015.9-60-4)
- 不適切。債権放棄が有効な策となるのは「回収可能性がないもの」について貸倒損失を計上することです。回収可能性があるものは、債権放棄しても損金算入は認められません。
売掛金や受取手形は資産として評価されるため、回収できない金銭債権をそのままにしておくと、非上場企業の株式評価額を高くする要因となります。回収見込みのない金銭債権を損金処理することで、資産と利益がともに減少するため株式評価額を低くする効果を望めます。自社株の評価額を引き下げるためには、積極的な費用計上を行って利益を圧縮することや、新規取引先に対する金銭債権のうち回収可能性があるものについても債権放棄により貸倒損失を計上することなどが望ましい。(2017.1-59-3) - 不適切。オーナー経営者が死亡したときの相続税額の負担を軽減するために、自社株式のある程度を生前に後継者に移転しておくことが推奨されます。自社株式の大半を経営に関与しない第三者に生前に移転させると、経営権を奪われる事態にも繋がるため望ましくありません。オーナー経営者が死亡したときの相続税額の負担を軽減するため、オーナー経営者が保有する自社株式の大半を経営に関与しない第三者に生前に移転しておくことが望ましい。(2017.9-60-3)オーナー経営者が死亡したときの相続税額の負担を軽減するため、オーナー経営者が保有する自社株式の大半を経営に関与しない第三者に生前に移転しておくことが望ましい。(2015.9-60-3)オーナー経営者が死亡したときの相続税額の負担を軽減するため、オーナー経営者が保有する自社株式の大半を経営に関与しない第三者に生前に移転しておくことが望ましい。(2014.5-60-3)
- 不適切。2分の1ではありません。「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」は、事業承継税制の一つで、会社の後継者が贈与を受けた一定の非上場株式等に対応する贈与税額について、一定の要件のもとに非上場株式等の贈与者が死亡する日等まで納税を猶予する制度です。先代経営者の死亡等により猶予税額は免除されます。本制度では、後継者が非上場株式を取得した場合、発行済議決権株式の100%について贈与税額が猶予されます。
平成30年度税制改正により上限が100%になりました(特例措置)。以前の上限は発行済議決権の3分の2まででした(一般措置)。
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