FP2級過去問題 2020年9月学科試験 問60
問60
非上場企業の事業承継対策等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。- 経営者への役員退職金の原資の準備として、契約者(=保険料負担者)および死亡保険金受取人を法人、被保険者を経営者とする終身保険などの生命保険に加入することが考えられる。
- 経営者が保有している自社株式を役員である後継者に取得させる場合、後継者にとってその取得資金の負担が大きいときには、あらかじめ後継者の役員報酬を増加させるなどの対策を講じることが考えられる。
- 「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」の適用を受ける場合、相続時精算課税制度の適用を受けることはできない。
- 「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」の適用を受けた場合、後継者が先代経営者から贈与を受けたすべての非上場株式が、その特例の対象となる。
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正解 3
問題難易度
肢111.7%
肢211.0%
肢347.6%
肢429.7%
肢211.0%
肢347.6%
肢429.7%
分野
科目:F.相続・事業承継細目:9.事業承継対策
解説
- 適切。契約者および保険金受取人を会社、被保険者を経営者とする終身保険に加入すれば、死亡保障を備えつつ、適切な時期に終身保険を解約するか名義変更して現物支給することで、役員退職金に充てることができます。死亡退職金の原資の準備として、契約者(=保険料負担者)および死亡保険金受取人を法人、被保険者を経営者とする生命保険に加入することが考えられる。(2022.9-59-1)オーナー経営者への役員退職金の支払い原資の準備として、契約者(=保険料負担者)および死亡保険金受取人を法人、被保険者をオーナー経営者とする長期平準定期保険や逓増定期保険などの生命保険に加入することが考えられる。(2017.9-60-2)
- 適切。オーナー経営者が保有している自社株式を役員である後継者に取得させる場合、後継者がその株式の取得費用または取得に係る贈与税額を負担することになります。買取り時の資金負担を軽減させるために、後継者の役員報酬を増加させておくことは有効な対策です。オーナー経営者が保有している自社株式を役員である後継者に取得させる場合、後継者にとってその取得資金の負担が大きいときには、あらかじめ後継者の役員報酬を増加させるなどの対策を講じることが考えられる。(2019.9-60-1)オーナー経営者が保有している自社株式を役員である後継者に取得させる場合、後継者にとってその取得資金の負担が大きいときには、あらかじめ後継者の役員報酬を増加させるなどの対策を講じることが考えられる。(2017.1-59-2)オーナー経営者が保有する自社株式を役員である後継者が取得する際の後継者の資金負担が心配される場合、あらかじめ、後継者の役員報酬を増やす等により相当の金融資産を確保しておく方策が考えられる。(2015.9-60-4)
- [不適切]。「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」には一般措置と特例措置がありますが、どちらでも相続時精算課税制度を併用することが可能です。特例措置の適用を受ける場合は、贈与者の子や孫以外の者への贈与であっても相続時精算課税制度を適用できることになっています。
「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」は、事業承継税制の一つで、会社の後継者が贈与を受けた一定の非上場株式等に対応する贈与税額を、一定の要件の下に非上場株式等の贈与者が死亡する日等まで納税を猶予する制度です。先代経営者(贈与者)の死亡等により、後継者の猶予税額は免除され、贈与者の死亡時に相続で取得したものとして相続税が課税されます。その際、都道府県知事の確認を受けることで、相続税の納税猶予を受けることができます。「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」と相続時精算課税は、重複して適用を受けることができない。(2024.1-59-2)「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」の適用を受ける場合、相続時精算課税制度の適用を受けることはできない。(2019.5-60-1) - 適切。「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」の適用を受けて、後継者が先代経営者から非上場株式を取得した場合、発行済議決権株式の100%について贈与税額が猶予されます。
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