FP2級 2016年5月 実技(FP協会:資産設計)問2

問2

「消費者契約法」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 保護の範囲は、個人(事業としてまたは事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く)とされており、法人は対象外とされている。
  2. 事業者が消費者に重要事項について事実と異なることを告げ、消費者がそれを事実と信じて結んだ契約は、取り消すことができる。
  3. 事業者の債務不履行によって消費者に損害が発生した場合には、その損害を賠償する責任の全部を免除するという契約の条項は、有効である。
  4. 金融商品販売を行う事業者が将来の受取額が不確実な商品について「必ず儲かる」と断言し、消費者がそれを信じて結んだ契約は、取り消すことができる。

正解 3

分野

科目:A.ライフプランニングと資金計画
細目:2.ファイナンシャル・プランニングと関連法規

解説

  1. 適切。消費者契約法に定める「消費者」とは個人を指します。ただし、個人事業主が事業のために契約の当事者となった場合は保護対象外です。
  2. 適切。重要事項について事実と異なることを告げ、消費者が誤認をして契約の申込みや承諾の意思表示をした場合には、その契約及び意思表示を取り消すことができます。他にも消費者に不利益な事実を故意・重過失により告げなかった場合、一定の行為により消費者が困惑して契約した場合も取り消しの対象となります。
  3. [不適切]。民法は契約内容の自由を原則としており、事業者と消費者がどのような契約をしても許されますが、事業者と消費者では情報や知識に差がありすぎるので消費者に著しく不利な特約がなされ得るという問題があります。これに対処するため消費者契約法では、民法を修正し、消費者が著しく不利になってしまう特約を無効にしています。
    具体的には、本肢のような①事業者側の損害賠償責任を全部免除する条項、②事業者側に故意・重過失がある場合に責任の一部を免除する条項、③事業者側の不法行為による損害賠償責任を全部免除する条項、④契約不適合責任の全部を免除する条項などが、無効の対象となります。よって、本肢の条項は無効です。
  4. 適切。将来において不確実な事項について確実であると断言すること(断定的判断の提供)により、消費者が誤認して契約をした場合は、その契約を取り消すことができます。
したがって不適切な記述は[3]です。