FP2級 2016年5月 実技(金財:生保)問8

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
ご注意ください。
法令改正により、この問題の記述は現行の内容と異なっている可能性があります。

問8

Mさんは、Aさんに対して、<資料1>の無配当逓増定期保険について説明した。Mさんが説明した次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
  1. 「当該生命保険の保険料は、保険期間開始のときから当該保険期間の6割に相当するまでの期間においては、その3分の2を資産に計上し、残りの3分の1を期間の経過に応じて損金の額に算入します」
  2. 「返戻率がピークの時期に払済終身保険に変更した場合でも、逓増定期保険から払済終身保険への変更に限り、経理処理の必要はありません」
  3. 「X社が当該生命保険契約を解約した場合にX社が受け取る解約返戻金は、Aさんに支給する役員退職金の原資として活用する以外に、設備投資等の事業資金としても活用することができます」

正解 

××

分野

科目:B.リスク管理
細目:3.生命保険

解説

  1. ×不適切。2019年7月7日以前に契約した逓増定期保険の経理処理は、契約時の年齢及び保険期間終了時の年齢によって4つのパターンに分かれます。
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    Aさんの年齢は56歳、<資料1>の保険は75歳満了なので、保険期間は19年間です。満了時年齢は70歳超ですが、「56+19×2=94<95」ですので、上表の1のケースに該当します。よって、前半6割期間は2分の1資産、2分の1損金の仕訳を行います。
    法人税通達の改正により、逓増定期保険、長期平準定期保険などで個別に適用されていた仕訳が廃止されました。2019年7月8日以降に契約した保険期間3年以上の法人生命保険は、解約返戻率を基準にして契約当初の資産計上割合が、0割=全額損金(解約返戻率50%以下)、4割(同50%超70以下)、6割(同70%超85以下)、9割(85%超)に区分されます。遡及適用はないので、基準日以前に契約したものは従前の経理処理を行います。
  2. ×不適切。逓増定期保険を払済終身保険へ変更する場合、解約返戻金相当額を保険料積立金として資産計上し、逓増定期保険の前払保険料の全額を取り崩します。解約返戻金と前払保険料勘定との差額は雑収入または雑損失として計上します。
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  3. 〇適切。X社が受け取る解約返戻金の使途はX社が自由に決定できます。Aさんに支給する役員退職金の原資として活用するだけでなく、会社の借入金の返済や運転資金への充当などにも活用することができます。