FP2級 2016年5月 実技(金財:生保)問15

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】

問15

X社は、弟Dさんが所有するX社株式を買い入れることにした。X社の自己株式の買取りに関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、下記の〈語句群〉のイ~リのなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。

 「X社が、弟DさんからX社株式を自己株式として買い取る場合、当該行為は、特定の株主からの取得に該当するため、X社の株主総会の()が必要となります。なお、X社が取得することができる自己株式の対価の総額は、会社法の定める分配可能額の範囲内とする必要があります。弟Dさんが、X社株式をX社に譲渡した場合、その譲渡価額のうち当該株式に対応する()を超える部分の金額については、()所得として総合課税の対象となります」
  1. イ.普通決議
  2. ロ.特別決議
  3. ハ.特殊決議
  4. ニ.資本金等の額
  5. ホ.経常利益
  6. ヘ.利益積立金
  7. ト.配当
  8. チ.一時
  9. リ.譲渡

正解 

分野

科目:F.相続・事業承継
細目:10.事業と経営

解説

〔①について〕
普通決議は、定款に別段の定めがない限り、総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもってする決議です。
これに対し特別決議は、必ず発行済株式の総数の過半数の株式を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上の多数をもってする決議であり、取締役・監査役の責任解除及び解任、定款の変更、営業の譲渡、資本の減少、会社の解散・合併契約の承認などについて行なわれます。
特定の株主から自己株式を取得する場合、自己株式取得に係る授権決議として株主総会の特別決議が必要となります。
よって、正解は[ロ]の特別決議になります。

〔②について〕
株式を発行元である会社に株式を売却した場合、自己株式の譲渡に該当します。そして、会社が自身の発行した株式を購入するということは、その株式の価額に見合う金銭を払い戻す行為と同じなので、税法では「配当(みなし配当)」と考えることになります。
このとき、交付を受けた金銭等のうち、取得する株式の割合に対応する資本金等の額を超える金額(つまり利益部分)については配当があったと考えます。
本問のケースだと、弟Dさんの300,000株は資本金等の額の30%に当たる1,500万円に相当します。X社が1,500万円を超える金額で弟Dさんの株式を取得した場合、その差額について弟Dさんは配当所得があったとみなされます。
よって、正解は[ニ]の資本金等の金額になります。

〔③について〕
株式を発行元である会社に株式を売却した場合、法人の所有株式等に対応する資本金等の額を超える部分については、配当をされたと考えます。
正解は[ト]の配当(所得)になります。