FP2級過去問題 2016年9月学科試験 問59

問59

遺産の分割に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 遺言による相続分の指定がない場合、法定相続分に従って、遺産の分割をしなければならない。
  2. 被相続人の財産の維持や増加について特別の寄与をした相続人について認められる寄与分の額は、原則として共同相続人の協議によって定めるが、協議が調わないときは、寄与をした者の請求により家庭裁判所が寄与分を定める。
  3. 代償分割において、共同相続人のうち、特定の者が被相続人の相続財産を取得し、その者が他の相続人や受贈者に代償として交付する資産は、その者の固有財産のうち現金に限られる。
  4. 換価分割において、共同相続人が相続によって取得した財産の全部または一部を換価し、その換価代金を分割した場合、各相続人が取得した換価代金は、所得税において非課税所得とされている。

正解 2

問題難易度
肢121.8%
肢247.6%
肢38.1%
肢422.5%

解説

  1. 不適切。法定相続分は民法上の相続割合であり、現実の分割に対して強制力はありません。遺産分割において相続人の全員が合意すれば、法定相続分によらない分割方法を選択することもできます。
  2. [適切]。遺産分割の協議が調わない場合には、共同相続人の申立てに基づき家庭裁判所の調停により寄与分を定めます。
  3. 不適切。代償分割は、共同相続人のうち特定の者に相続財産の現物を取得させ、その取得した相続人が、他の相続人に対して代わりとなる自己の財産(代償財産)を交付する方法です。代償財産は、現金だけでなく土地・建物などの現物でも問題ありません。
  4. 不適切。換価分割は、相続財産の全部または一部を現金化して、その代金を共同相続人間で分けることで遺産分割をする方法です。共同相続人が換価代金を受け取った場合、換価代金の配分割合で相続財産を取得して売ったとみなされるため、譲渡益があれば、各相続人の譲渡所得として所得税の課税対象になります。
    換価分割は、共同相続人が相続により取得した財産の全部または一部を金銭に換価し、その換価代金を共同相続人の間で分割する方法である。2023.5-53-2
    換価分割は、共同相続人が相続によって取得した不動産の全部または一部を金銭に換価し、その換価代金を共同相続人の間で分割する方法である。2019.1-56-3
    換価分割は、共同相続人が相続によって取得した財産の全部または一部を金銭に換価し、その換価代金を共同相続人間で分割する方法である。2015.5-55-2
したがって適切な記述は[2]です。