FP2級 2017年1月 実技(金財:生保)問9

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
ご注意ください。
法令改正により、この問題の記述は現行の内容と異なっている可能性があります。

問9

Mさんは、Aさんに対して、<資料2>の無配当定期保険について説明した。Mさんが説明した次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
  1. 「当該生命保険の保険料は、保険期間開始の時から当該保険期間の6割に相当するまでの期間においては、その2分の1を資産に計上し、残りの2分の1を期間の経過に応じて損金の額に算入します。保険期間の後半4割相当期間においては、支払保険料の全額を損金の額に算入するとともに、それまでに資産に計上した前払保険料の累積額をその期間の経過に応じ取り崩して損金の額に算入します」
  2. 「X社が緊急資金を必要とした際には、契約者貸付制度を利用することにより、当該保険契約を解約することなく資金を調達することができます。ただし、契約者貸付の貸付金には、保険会社所定の利息が発生します」
  3. 「当該生命保険の単純返戻率(解約返戻金額÷払込保険料累計額)は、65歳前後にピークを迎え、その後、90歳前後まで同程度の水準を維持しながら推移します。65歳以後に解約などして、役員退職金等の原資を確保するようにしてください」

正解 

×

分野

科目:B.リスク管理
細目:3.生命保険

解説

  1. 〇適切。2019年7月7日以前に契約した法人定期保険のうち、満了時の被保険者の年齢が70歳超、かつ、契約時の被保険者の年齢に保険期間の2倍を加えた数が105を超える、という2つの条件を満たす定期保険は長期平準定期保険に該当します。<資料2>の定期保険は、"99歳満了"かつ"45歳+54年×2>105"なので長期平準定期保険に該当します。
    長期平準定期保険の支払保険料は、保険期間の前半6割の期間と後半4割の期間で経理処理が異なります。
    前半6割の期間
    支払保険料の2分の1を前払保険料として資産計上し、残り2分の1を定期保険料として損金算入する。
    後半4割の期間
    支払保険料全額と、前半6割で積み立てた資産(前払保険料)を均等に取り崩した額を損金算入する。
    法人税通達の改正により、逓増定期保険、長期平準定期保険などで個別に適用されていた仕訳が廃止されました。2019年7月8日以降に契約した保険期間3年以上の法人生命保険は、解約返戻率を基準にして契約当初の資産計上割合が、0割=全額損金(解約返戻率50%以下)、4割(同50%超70以下)、6割(同70%超85以下)、9割(85%超)に区分されます。遡及適用はないので、基準日以前に契約したものは従前の経理処理を行います。
  2. 〇適切。契約者貸付制度は、所定の利率が発生します。各保険会社により違いはありますが、契約者貸付制度により解約返戻金の70~90%程度まで融資を受けることが可能です。万が一返済できなかった場合は、本来受け取るべき解約返戻金や満期金と相殺されます。
  3. ×不適切。解約返戻率のピークを迎えた後は、徐々に減っていき満期時にはゼロになります。99歳満了ですので90歳前後までピークが続くことはありません。解約は解約返戻率の高い時期に行うことが望まれます。