FP2級 2018年1月 実技(FP協会:資産設計)問19

問19

大津一郎さん(40歳)は、父(70歳)と叔父(65歳)から下記<資料>の贈与を受けた。一郎さんの2023年分の贈与税額として、正しいものはどれか。なお、父からの贈与については、2022年から相続時精算課税制度の適用を受けている(適用要件は満たしている)。

<資料>
[2023年中の贈与]
  • 父から贈与を受けた金銭の額:1,800万円
  • 叔父から贈与を受けた金銭の額:500万円
[2022年中の贈与]
  • 父から贈与を受けた金銭の額:1,000万円
  • 2022年中および2023年中に上記以外の贈与はないものとする。
  • 上記の贈与は、住宅取得等資金や結婚・子育てに係る資金の贈与ではない。
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  1. 910,000円
  2. 1,085,000円
  3. 1,130,000円
  4. 1,450,000円

正解 3

分野

科目:F.相続・事業承継
細目:2.贈与と税金

解説

【父からの贈与】
大津一郎さんは、父からの贈与について2022年から相続時精算課税制度の適用を受けています。

相続時精算課税制度の適用を受けると、特定贈与者ごとに、基礎控除額を控除した後の残額の累計で2,500万円までの贈与について贈与税が非課税となります。2,500万円を超えた部分は、一律20%の税率で贈与税が課されます。2024年分より相続時精算課税制度にも、暦年課税の基礎控除とは別に、特定贈与者ごとに年間110万円の基礎控除が創設されました。2024年分以降の贈与は基礎控除額を考慮して計算する必要があります。

本問では贈与を受けた年がいずれも2023年以前なので基礎控除はありません。2022年に1,000万円の贈与を受けているので、残りの非課税枠は「2,500万円-1,000万円=1,500万円」です。このため、2023年に贈与された1,800万円から残りの非課税枠を差し引いた「1,800万円-1,500万円=300万円」が課税対象となります。したがって、300万円に20%を乗じて贈与税額を算出します。

 300万円×20%=60万円

【叔父からの贈与】
暦年課税なので110万円の基礎控除を差し引き、税率を掛けて贈与税を求めます。叔父は、直系尊属には該当しないため(ロ)の速算表を使用して、贈与税額を算出します。

 500万円-110万円=390万円
 390万円×20%-25万円=53万円

したがって、一郎さんの2023年分の贈与税額は、

 60万円+53万円=1,130,000

以上より[3]が正解です。

【参考】相続時精算課税制度は、法改正によりやや複雑化し、これまでのように単純に2,500万円引くだけではなくなってしまいました。当サイトでは出題当時の設定で年号だけを新しくした問題を、現行法令に当てはめた解答・解説としていますが、今後は出題形式が変わってくる可能性があります。