FP2級 2018年1月 実技(金財:生保)問9
問9
Mさんは、Aさんに対して、<資料2>の定期保険について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のイ~ルのなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。「当該定期保険の場合、保険期間開始時から当該保険期間の(①)割に相当する期間においては、支払保険料の(②)を前払保険料として資産計上し、残りの支払保険料については、一般の定期保険の支払保険料の取扱い同様、期間の経過に応じて損金の額に算入します。なお、(①)割に相当する期間を経過した後の期間においては、支払保険料の全額を損金の額に算入するとともに、それまでに資産に計上した前払保険料の累積額をその期間の経過に応じ取り崩して損金の額に算入します。
当該定期保険の単純返戻率(解約返戻金÷払込保険料累計額)は、契約の当初から上昇し、65歳から70歳前後にピークを迎えます。その解約返戻金は、役員退職金の原資や設備投資等の事業資金として活用することができます。仮に、65歳時において当該定期保険を解約した場合(X社が解約時までに支払った保険料の総額は5,100万円とする)のX社の経理処理は、以下のようになります」
- イ.4
- ロ.5
- ハ.6
- ニ.1,700
- ホ.2,550
- ヘ.3,400
- ト.2分の1
- チ.3分の1
- リ.3分の2
- ヌ.雑損失
- ル.雑収入
① | ② | ③ | ④ |
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正解
① | ② | ③ | ④ |
ハ | ト | ホ | ル |
分野
科目:B.リスク管理細目:3.生命保険
解説
〔①、②について〕
2019年7月7日以前に契約した法人定期保険のうち、次の2つの要件をともに満たすものは長期平準定期保険に区分されます。
長期平準定期保険料の払込みは、保険期間全体の当初6割までの期間と、残り4割の期間で経理処理(仕訳)が異なります。
〔③について〕
前述のように、長期平準定期保険では保険期間の前半6割の期間では支払保険料の2分の1を前払い保険料として資産計上します。提案を受けた生命保険において保険期間の6割は、「40歳+(59年×6/10)≒76歳」までの期間ですから、解約までの払込保険料累計額のうち2分の1に当たる「5,100万円×1/2=2,550万円」が資産計上されていることとなります。したがって、解約返戻金の受取時に取り崩す前払い保険料の金額は2,550万円です。
よって、正解は[ホ]の2,550(万円)になります。
〔④について〕
「解約返戻金額>前払保険料」であれば差額は雑収入、「解約返戻金額<前払保険料」であれば差額は雑損失として計上します。本問では「解約返戻金額>前払保険料」ですから、「4,750万円-2,550万円=2,200万円」を雑収入として計上します。
よって、正解は[ル]の雑収入になります。
※複式簿記では、借方と貸方の合計金額は必ず一致しなければいけませんから、雑収入の金額は現金・預金と前払い保険料の差額となります。複式簿記を学習したことのある方でしたら、④は貸方の勘定だから収益勘定である雑収入であると判断することもできます。
法人税通達の改正により、逓増定期保険、長期平準定期保険などで個別に適用されていた仕訳が廃止されました。2019年7月8日以降に契約した保険期間3年以上の法人生命保険は、解約返戻率を基準にして契約当初の資産計上割合が、0割=全額損金(解約返戻率50%以下)、4割(同50%超70以下)、6割(同70%超85以下)、9割(85%超)に区分されます。遡及適用はないので、基準日以前に契約したものは従前の経理処理を行います。
2019年7月7日以前に契約した法人定期保険のうち、次の2つの要件をともに満たすものは長期平準定期保険に区分されます。
- 満了時の年齢が70歳超
- 加入時年齢に保険期間の2倍を加えた数値が105超
長期平準定期保険料の払込みは、保険期間全体の当初6割までの期間と、残り4割の期間で経理処理(仕訳)が異なります。
- 保険期間の前半6割の期間の仕訳
- 支払保険料の2分の1を「前払保険料」として資産計上し、残りの2分の1を「定期保険料(支払保険料)」として損金算入します。
- 保険期間の後半4割の期間の仕訳
- 支払保険料の全額を「定期保険料(支払保険料)」として損金算入し、さらに、それまでに積み立てた「前払保険料」勘定を残り4/10の期間で均等に取り崩して損金に算入する仕訳をします。
〔③について〕
前述のように、長期平準定期保険では保険期間の前半6割の期間では支払保険料の2分の1を前払い保険料として資産計上します。提案を受けた生命保険において保険期間の6割は、「40歳+(59年×6/10)≒76歳」までの期間ですから、解約までの払込保険料累計額のうち2分の1に当たる「5,100万円×1/2=2,550万円」が資産計上されていることとなります。したがって、解約返戻金の受取時に取り崩す前払い保険料の金額は2,550万円です。
よって、正解は[ホ]の2,550(万円)になります。
〔④について〕
「解約返戻金額>前払保険料」であれば差額は雑収入、「解約返戻金額<前払保険料」であれば差額は雑損失として計上します。本問では「解約返戻金額>前払保険料」ですから、「4,750万円-2,550万円=2,200万円」を雑収入として計上します。
よって、正解は[ル]の雑収入になります。
※複式簿記では、借方と貸方の合計金額は必ず一致しなければいけませんから、雑収入の金額は現金・預金と前払い保険料の差額となります。複式簿記を学習したことのある方でしたら、④は貸方の勘定だから収益勘定である雑収入であると判断することもできます。
法人税通達の改正により、逓増定期保険、長期平準定期保険などで個別に適用されていた仕訳が廃止されました。2019年7月8日以降に契約した保険期間3年以上の法人生命保険は、解約返戻率を基準にして契約当初の資産計上割合が、0割=全額損金(解約返戻率50%以下)、4割(同50%超70以下)、6割(同70%超85以下)、9割(85%超)に区分されます。遡及適用はないので、基準日以前に契約したものは従前の経理処理を行います。
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