FP2級 2019年9月 実技(金財:生保)問8

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】

問8

Mさんは、Aさんに対して、《設例》の<資料1>の無配当逓増定期保険について説明した。Mさんが説明した次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
  1. 「当該生命保険の単純返戻率(解約返戻金額÷払込保険料累計額)は、逓増率変更年度の前後でピークを迎え、その後、単純返戻率は低下し、保険期間満了時には0(ゼロ)になります。現在のキャッシュバリューを確保するには、解約あるいは払済終身保険への変更を検討してください」
  2. 「当該生命保険を解約した場合にX社が受け取る解約返戻金は、Aさんに支給する役員退職金の原資や設備投資等の事業資金として活用することができます」
  3. 「当該生命保険を払済終身保険に変更する場合、その変更時点における解約返戻金相当額とそれまでに支払った保険料の総額との差額を雑損失として損金の額に算入します」
  4. 「当該生命保険を払済終身保険に変更する場合、Aさんは改めて健康状態等についての告知または医師の診査を受ける必要があるため、健康状態によっては、払済終身保険に変更できない場合があります」

正解 

××

分野

科目:B.リスク管理
細目:3.生命保険

解説

  1. 〇適切。逓増定期保険は、解約時の解約返戻率が早い段階(約5年)で90%を大きく超えてきますが、その後は低下し保険期間満了時には0になります。X社が現在加入している生命保険は契約から約10年が経過しているため、現金価値を確保するには、解約して別の保険に乗り換えるか、当該保険に付されている仕組みを利用して払済終身保険へ変更するのが得策です。
  2. 〇適切。X社が受け取る解約返戻金は、役員退職金の原資や設備投資等の事業資金あるいは内部留保に回すなど自由に活用することができます。
  3. ×不適切。法人契約の生命保険で、支払保険料の一部・全部が資産計上されているものを払済終身保険に変更する場合、変更時点における解約返戻金相当額と資産計上額(前払保険料勘定)の差額を計算し、解約返戻金の方が多ければ差額を雑収入とし、解釈返戻金が少なければ雑損失として経理処理します。
    本問では既払済保険料総額が「400万円×8年=3,200万円」であり、資産計上額は支払保険料の2分の1に相当する「3,200万円×1/2=1,600万円」です(逓増定期保険の経理処理判定は省略)。「解約返戻金2,900万円>資産計上額1,600万円」となるので、差額の1,300万円を雑収入として益金の額に算入します。
    なお、払済保険の原資となる解約返戻金相当額は、現金・預金ではなく保険料積立金として資産計上することとなります。
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  4. ×不適切。払済保険や延長保険への変更は、新規契約扱いではなく継続扱いなので、告知や医師の診査は不要です。