FP2級 2020年1月 実技(金財:個人)問14
問14
不動産賃貸業の法人化に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。- 「不動産賃貸業を法人化し、AさんがX社から役員報酬を得ることになれば、給与所得控除額の適用があります。また、妻Bさんや長女CさんがX社の役員になり役員報酬を得ることで、所得の分散を図ることもできます」
- 「Aさんが賃貸マンションの建物だけをX社に移転した場合、権利金の認定課税を回避するためには、X社はAさんと連名で『土地の無償返還に関する届出書』を法務局に提出する必要があります」
- 「賃貸マンションの土地と建物をAさんからX社に譲渡した場合、先祖代々の土地の取得費が小さければ、譲渡所得の金額が大きくなり、Aさんに多額の所得税が課される可能性があります」
① | ② | ③ |
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正解
① | ② | ③ |
〇 | × | 〇 |
分野
科目:E.不動産細目:6.不動産の賃貸
解説
- 〇適切。不動産賃貸業を法人化(会社経営)にすると今までの収入が法人の所得となり、法人の収入から役員報酬を受け取る形になります。法人税は実効税率30%程度ですので、所得税+住民税の最高税率(55%)と比較すると低税率です。役員報酬として所得税はかかりますが、複数人に分散すればそれぞれ給与所得控除を使えて所得税率も下がるので、1人で4,000万円を計上するよりも税金の総額を抑えられる可能性があります。
【参考】法人成りは、社会保険の加入義務や事務の煩雑化、法人の資金は自分の財布のように自由に使えないこと、法人の資産を個人に移す際に二重課税となることなどを勘案し、詳細な試算を行った上で決定すべきです。 - ×不適切。「土地の無償返還に関する届出書」とは、個人と法人の間で借地権の設定があり、将来、土地を無償返還を定めている場合に、その旨を税務署に届け出る手続きです。少なくとも一方が法人である土地の賃貸借では、「土地の無償返還に関する届出書」を提出し、通常の地代を支払うことで、権利金の認定課税を避けることができます。
X社はAさん名義の土地を利用することになるので、権利金の認定課税をされないようにするために本手続きを行う必要があります。 - 〇適切。譲渡所得は「譲渡価格-譲渡費用-取得費」で計算します。取得費が小さければ譲渡所得金額が大きくなり、算出される所得税額も多くなります。
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