FP2級 2021年1月 実技(金財:個人)問5

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】

問5

Mさんは、Aさんに対して、《設例》のデータに基づいて、株式の投資指標等について説明した。Mさんが説明した次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
  1. 「PBRは、株価(時価総額)が企業の純資産(自己資本)と比べて割高であるか、割安であるかを判断するための指標です。PBRが1倍を下回るX社株式およびY社株式は割安と判断できます」
  2. 「一般に、配当利回りが高いほど、株主に対する利益還元の度合いが高いと考えることができます。Y社株式の配当利回りは50%であり、X社株式の配当利回りを上回ります」
  3. 「一般に、自己資本比率が高いほど、経営の安全性が高いと考えられています。自己資本比率はY社よりもX社のほうが高くなっています」

正解 

××

分野

科目:C.金融資産運用
細目:5.株式投資

解説

  1. ×不適切。PBR(株価純資産倍率)は、株価が1株当たり純資産の何倍であるかを示す指標で、「PBR(倍)=株価÷1株当たり純資産」で計算します。1倍を下回っているということは、株価がその企業が解散したときの価値(株主が最終的に受け取れる価値)未満になっていると言うことなので、一般的には割安であると判断できます。
    • X社の純資産は550,000百万円(=5,500億円)、発行済株式総数は5億株ですので、1株当たりの純資産は「5,500億円÷5億株=1,100円」となります。X社の株価は1,250円ですので、PBRは、
       1,250円÷1,100円=1.1363…倍
    • Y社の純資産は240,000百万円(=2,400億円)、発行済株式総数は2億株ですので、1株当たりの純資産は「2,400億円÷2億株=1,200円」となります。Y社の株価は1,354円ですので、PBRは、
       1,354円÷1,200円=1.1283…倍
    X社・Y社ともにPBRが1倍を上回っているので本肢は誤りです。
  2. ×不適切。配当利回りは、株価に対する年間配当金の割合を示す指標で「1株当たりの年間配当金÷株価×100」で計算します。
    • X社の1株当たり年間配当金は40円、株価は1,250円ですので、配当利回りは、
       40円÷1,250円×100=3.2%
    • Y社の1株当たり年間配当金は50円、株価は1,354円ですので、配当利回りは、
       50円÷1,354円×100=3.692…%
    Y社の配当利回りは3.69%ですので記述は誤りです。なお、50%というのは当期純利益に対する年間配当金の割合を示す配当性向の値です。
  3. 〇適切。自己資本比率は、負債および純資産の合計額(総資本)に占める純資産の割合のことで、「自己資本比率(%)=純資産÷(負債+純資産)×100」で計算します。自己資本比率が高いほど経営の安全性が高いと考えられます。
    • X社の純資産は550,000百万円、総資本は資産と同額の920,000百万円なので、
       550,000÷920,000×100=59.782…%
    • Y社の純資産は240,000百万円、総資本は資産と同額の720,000百万円なので、
       240,000÷720,000×100=33.333…%
    記述のとおり、自己資本比率はX社の方が高くなっています。