FP2級 2021年1月 実技(金財:生保)問9

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】

問9

Mさんは、Aさんに対して、《設例》の<資料2>の終身保険について説明した。Mさんが説明した次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
  1. 「当該生命保険は、低解約返戻金型ではない終身保険に比べて保険料払込期間中の解約返戻金の水準が低く設定されています。そのため、保険料払込期間の途中で解約とならないよう、継続的な支払が可能な保険料であるかをご確認ください」
  2. 「当該生命保険の支払保険料は、その全額を資産に計上します。仮に、保険料払込期間満了時にAさんが死亡した場合、X社は、それまで資産計上していた保険料積立金3,300万円を取り崩し、死亡保険金4,000万円との差額700万円を雑収入として経理処理します」
  3. 「Aさんが勇退する際に、契約者をAさん、死亡保険金受取人をAさんの相続人に名義変更することで、当該保険契約を役員退職金の一部または全部として支給することができます。Aさん個人の保険として継続することにより、納税資金の確保や死亡保険金の非課税金額の規定の適用など、相続対策として活用することができます」
  4. 「X社が保険期間中に資金を必要とした場合、契約者貸付制度を利用することにより、当該生命保険を解約することなく、資金を調達することができます。X社が契約者貸付金を受け取った場合、当該保険契約は継続しているため、経理処理は必要ありません」

正解 

×

分野

科目:B.リスク管理
細目:5.第三分野の保険

解説

  1. 〇適切。低解約返戻金型終身保険は、保険料払込期間中の解約返戻金が通常よりも抑えられている分、保険料が通常よりも割安になっている終身保険です。保険料払込期間の途中で解約すると元本割れする可能性があるので、事業の存続可能性等も考慮した上で、本当に払込終了となる65歳まで年150万円の保険料を支払い続けられるかどうかを検討する必要があります。
  2. 〇適切。契約者と死亡保険受取人が法人であるの終身保険の保険料は、全額を保険料積立金として資産計上します。そして死亡保険金受取時には、それまで資産計上していた額を取り崩し、受け取った死亡保険金との差額を雑収入または雑損失として計上します。本問の場合、死亡保険金4,000万円>資産計上額3,300万円なので、両者の差額700万円は雑収入として計上します。
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  3. 〇適切。法人契約の終身保険を個人名義にすることで退職金の一部とすることができます。役員側ではすぐに解約して現金化することもできますし、そのまま個人の保障として継続することで死亡保険金の非課税枠を使った相続税の軽減、相続人の納税資金の確保にも活用できます。
  4. ×不適切。契約者貸付制度は、解約返戻金を担保にして、解約返戻金の7~9割の範囲で保険会社からお金を融資してもらえる制度です(有利子)。保険会社からの借入金という扱いになるので、契約者貸付の入金時には、借方に現預金、貸方に借入金という仕訳をします。逆に契約者貸付を返済した時には、借方に借入金および利息、貸方に現預金という仕訳をします。