FP2級 2021年9月 実技(金財:個人)問11
問11
X社が提案する賃貸アパートの自己建設方式に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。- 「Aさん自身が不動産賃貸事業の業務のすべてを行うのであれば、賃貸経営から得られる収益をすべて享受することができますが、専門的な知識や経験の有無、相応の手間と時間を要することを考えると、業務の全部または一部を外部の専門業者に委託することが現実的な選択であると思います」
- 「X社に一括賃貸(普通借家契約・マスターリース契約(特定賃貸借契約))することで、賃料収入が保証されることはメリットだと思います。普通借家契約の場合、借地借家法の規定により、X社から賃料の減額請求をされることはありません」
- 「Aさんが金融機関から融資を受けて賃貸アパートを建築する場合、借入金による事業リスクを考慮する必要があります。DSCR(借入金償還余裕率)の値が1.0未満のときは、賃料収入だけでは借入金の返済が困難であることを示しています」
① | ② | ③ |
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正解
① | ② | ③ |
〇 | × | 〇 |
分野
科目:E.不動産細目:7.不動産の有効活用
解説
- 〇適切。不動産賃貸事業では、借主の募集・審査、賃料の受領、賃貸借契約の締結や更新、建物の維持管理、建物明渡し時の原状回復など、専門的な知識を要する煩雑な業務が多数あります。これらを自分で行えば賃料収入の全部を得ることができますが、素人である大家さんが全部を行うのは現実的ではありません。したがって、賃貸住宅管理業者にこれらの業務の全部または一部を委託することを検討すべきです。
- ×不適切。普通借家契約では賃料増減額請求権があり、借主側から減額請求する権利は特約によっても排除することができません。特定賃貸借契約(マスターリース契約)で一括借り上げする側はプロの業者ですからそのことは当然に知っていて、支払う家賃が近隣相場と比較して不相当になった場合には賃料減額を請求してきます。家賃保証を謳っていても、当初予定の家賃が保証されるわけではないので注意が必要です。
- 〇適切。DSCR(借入金償還余裕率)は、借入金返済の安全性を測る指標で「NOI(正味利益)÷元利金返済額」の式で計算します。DSCRを見ることで借入金の返済にどれだけ余裕があるかを把握することができ、値が大きいほど安全性は高くなります。1.0未満ということは、賃料経営の正味利益よりも借入金返済額が多いということなので、賃料収入だけでは借入金の返済が困難であることを示します。
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