FP2級 2022年9月 実技(金財:個人)問5

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】

問5

Mさんは、Aさんと長男Cさんに対して、《設例》のデータに基づいて、株式の投資指標等について説明した。Mさんが説明した次の記述①~③について、適切なものには〇印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
  1. 「PBRは、X社株式のほうがY社株式よりも高くなっています。しかし、これだけをもってX社株式が割高であると判断することはお勧めしません。PERなどの他の投資指標についても比較検討するなど、多角的な視点が望まれます」
  2. 「株主への利益還元の大きさに着目した指標として、配当性向があります。配当性向は、Y社のほうがX社よりも高くなっています」
  3. 「一般に、自己資本比率が高いほど、経営の安全性が高いと考えられます。自己資本比率は、Y社のほうがX社よりも高くなっています」

正解 

×

分野

科目:C.金融資産運用
細目:5.株式投資

解説

  1. ×不適切。PBR(株価純資産倍率)は、株価が1株当たり純資産の何倍であるかを示す指標で、「株価÷1株当たり純資産」で計算します。
    X社の純資産は29,000百万円=2,900,000万円、発行済株式総数は2,100万株ですので、1株当たりの純資産は「2,900,000万円÷2,100万株=1,380.952…円」です。X社の株価は1,600円なので、PBR(倍)は「1,600円÷1,380.95円=1.15…倍」となります。
    一方、Y社の純資産は11,000百万円、発行済株式総数は1,000万株ですので、1株当たりの純資産は「1,100,000万円÷1,000万株=1,100円」です。Y社の株価は4,050円なので、PBR(倍)は「4,050円÷1,100円=3.68…倍」となります。
    PBRは、X社株式よりもY社株式のほうが高くなっているので、本肢の記述は誤りです。
  2. 〇適切。配当性向は、当期純利益のうち株主に配当金として還元した割合を示す指標で、「年間配当金÷当期純利益×100」で求めます。
    X社は「420÷2,300×100=18.26…%」、Y社は「300÷800×100=37.5%」なので、配当性向はY社の方が高いです。
  3. 〇適切。自己資本比率は、負債および純資産の合計額(総資本)に占める純資産の割合のことで、「自己資本÷(負債+純資産)×100」で計算します。
    X社の自己資本(=純資産)は29,000百万円、総資本は資産と同額の54,000百万円なので、自己資本比率(%)は「29,000÷54,000×100=53.70…%」です。
    一方、Y社の純資産(=純資産)は11,000百万円、総資本は資産と同額の18,000百万円なので、自己資本比率(%)は「11,000÷18,000×100=61.11…%」です。
    記述のとおり、自己資本比率はY社の方が高くなっています。