FP2級 2022年9月 実技(金財:個人)問13

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問13

Aさんの相続・事業承継等に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を、下記の〈語句群〉のなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。
  1. 「遺言により、自宅および現預金等を妻Bさん、X社関連の資産を長男Cさんに相続させた場合、長女Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分を算定するための財産の価額が8億円の場合、長女Dさんの遺留分の金額は、()となります」
  2. 「長男CさんがX社本社敷地を相続により取得し、当該敷地について、特定同族会社事業用宅地等として『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、当該敷地(相続税評価額7,000万円)について、課税価格に算入すべき価額は()となります。なお、自宅敷地とX社本社敷地について、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けようとする場合、()」
  3. 「長男Cさん夫婦には子がいないので、将来の後継者確保のため、養子縁組をすることを検討してみてはいかがでしょうか。長男Cさん夫婦が孫Eさん(長女Dさんの子)と養子縁組(特別養子縁組でない縁組)をする場合、孫Eさんと長女Dさんとの法律上の親子関係は()」
  1. イ.1,400万円
  2. ロ.2,380万円
  3. ハ.5,000万円
  4. ニ.5,250万円
  5. ホ.1億円
  6. ヘ.2億円
  7. ト.終了しません
  8. チ.終了します
  9. リ.適用対象面積は所定の算式により調整され、完全併用はできません
  10. ヌ.それぞれの宅地の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます

正解 

分野

科目:F.相続・事業承継
細目:9.事業承継対策

解説

〔①について〕
遺留分は、遺留分全体の額に各人の法定相続分を乗じた額となります。遺留分全体の額は、遺留分の権利者が直系尊属のみの場合、遺留分算定基礎財産の3分の1、それ以外は2分の1です。遺留分算定基礎財産は8億円、長女Dさんの法定相続分は1/4なので、

 遺留分全体の額 8億円×1/2=4億円
 長女Dさんの遺留分 4億円×1/4=1億円

よって、正解は[ホ]の1億円になります。

〔②について〕
小規模宅地等の評価減の特例の適用を受けた場合、特定同族会社事業用宅地等は限度面積400㎡、減額割合80%になります。X社本社敷地(400㎡)は限度面積以下なので、敷地の全部が80%減額されることとなります。

 減額分 7,000万円×80%=5,600万円
 課税価格 7,000万円-5,600万円=1,400万円

よって、正解は[イ]の1,400万円になります。

〔③について〕
被相続人から自宅の敷地と事業の敷地の両方を相続した場合、自宅の敷地は特定居住用宅地等として、事業用の宅地は特定同族会社事業用宅地等として、それぞれの限度面積の調整なく併用して適用を受けることができます。居住用は330㎡まで、事業用は400㎡までなので、合わせて730㎡まで適用可能ということです。
よって、正解は[ヌ]のそれぞれの宅地の適用対象の限度面積まで適用を受けることができますになります。 

〔④について〕
特別養子縁組が成立した場合、養子と実方の父母との親族関係は終了します。一方、特別でない養子縁組(普通養子縁組)の場合には養子と実方の父母との親族関係は終了しません。
よって、正解は[ト]の終了しませんになります。