FP2級 2023年1月 実技(金財:生保)問8

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】

問8

Mさんは、Aさんに対して、<資料>の長期平準定期保険について説明した。Mさんが説明した次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
  1. 「当該生命保険を現時点で解約した場合、X社はそれまで資産計上していた前払保険料6,600万円を取り崩して、解約返戻金5,200万円との差額1,400万円を雑損失として経理処理します」
  2. 「Aさんの勇退時に当該生命保険を払済終身保険に変更し、契約者をAさん、死亡保険金受取人をAさんの相続人に名義を変更することで、X社は終身保険契約を役員退職金の一部としてAさんに現物支給することができます」
  3. 「当該生命保険を現時点で払済終身保険に変更した場合、変更した事業年度において雑損失が計上されます。したがって、変更した事業年度の利益を減少させる効果があります」
  4. 「X社が契約者貸付制度を利用し、契約者貸付金を受け取った場合、その全額を雑収入として益金の額に算入します」

正解 

×××

分野

科目:B.リスク管理
細目:3.生命保険

解説

  1. ×不適切。2019年7月7日以前に契約した長期平準定期保険では、前半6割期間における支払保険料の2分の1を定期保険料として損金算入して、残り2分の1を前払保険料として資産計上する経理処理を行います。長期平準定期保険を解約した場合、資産計上していた前払保険料を取り崩し、受け取った解約返戻金相当額と資産計上している前払保険料との差額を、雑収入または雑損失として計上します。
    契約から解約までの全期間が保険期間の前半6割期間に相当するため、払込保険料累計額の半分にあたる「6,600万円×1/2=3,300万円」が資産計上されている額となります。解約返戻金5,200万円を受け取った場合、現預金を5,200万円増加させると同時に、3,300万円を取り崩し、その差額である「5,200万円-3,300万円=1,900万円」を雑収入として計上する経理処理を行うことになります。
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  2. 〇適切。法人が契約している保険を払済保険に変更し、名義と保険金受取人を役員に変更すれば、退職金の一部として現物支給をすることができます。支給を受けた役員は、保険料を支払わずに終身の死亡保障を得ることができます。死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額があるので、非課税枠を活用する策として有効です。
  3. ×不適切。払済終身保険への変更は、いったん解約し、受け取った解約返戻金で終身保険を取得したと考えるので、経理処理は①と同じ考えになります。雑収入を計上することになるので変更した事業年度の利益は増加します。
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  4. ×不適切。契約者貸付制度でお金を借りた場合、資産勘定である現預金と、負債勘定である借入金を増やす経理処理を行います。収益と費用の項目は増加しません。
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