FP2級 2023年9月 実技(FP協会:資産設計)問15

問15

会社員の榎田さんが2023年中に支払った医療費等が下記<資料>のとおりである場合、榎田さんの2023年分の所得税の確定申告における医療費控除の金額として、正しいものはどれか。なお、榎田さんの2023年分の所得は、給与所得610万円のみであるものとし、榎田さんは妻および母と生計を一にしている。また、セルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)については考慮せず、保険金等により補てんされる金額はないものとする。
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  1. 母は、2022年12月に入院して、2023年1月に退院している。退院の際に支払った金額63,000円のうち30,000円は、2022年12月分の入院代および治療費であった。
  2. 榎田さんは夫婦で人間ドックを受診したが、榎田さんは重大な疾病が発見されたため、引き続き通院をして治療をすることとなった。妻は、人間ドックの結果、異常は発見されなかった。
  3. 虫歯が悪化したため抜歯し、医師の診断により一般的なインプラント治療を受け、現金で支払った。
  1. 43,000円
  2. 463,000円
  3. 493,000円
  4. 550,000円

正解 3

分野

科目:D.タックスプランニング
細目:5.所得控除

解説

医療費控除は、1年間に本人や配偶者や生計を同一にする親族のために支払った医療費が一定額を超えた場合に適用を受けることができます。控除額の算式は以下のとおりです。
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各支払いが医療費控除の対象となる医療費かどうかを個別に判断していきます。
2023年1月 入院費用
全額が医療費控除の対象となります。医療費控除における医療費は、その年に実際に支払ったものなので、2022年12月分の医療費も2023年分として申告することができます。
2023年4月 健康診断
通常、健康診断の費用は対象外となります。ただし、健康診断により重大な疾病が発見され引き続いて治療を受ける場合は、健康診断の費用も対象となります。本問の場合、(注2)に「榎田さんは重大な疾病が発見されたため、引き続き通院をして治療することとなった」とあるため、榎田さん本人の47,000円のみが医療費控除の対象となります。
2023年4月 通院治療
治療費として対象となります。
2023年8月 歯科治療
インプラント治療は、医師による歯の治療費として医療費控除の対象となります。インプラントや子どもの歯列矯正、レーシック、先進医療など保険適用外の自由診療に当たるものでも、医師による診療または治療による対価で一般的な水準を著しく超えない部分の金額は、医療費控除の対象になります。

以上より、入院費用・榎田さんの人間ドック・通院治療・歯科治療が対象となるため、医療費の総額は、

 63,000円+47,000円+33,000円+450,000円=593,000円

受け取った保険金や給付金はないので、上記の金額から10万円を控除した金額が医療費控除の金額となります。

 593,000円-100,000円=493,000

したがって正解は[3]です。