FP2級 2024年1月 実技(金財:個人)問4

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】

問4

Mさんは、Aさんに対して、《設例》のデータに基づいて、株式の投資指標について説明した。Mさんが説明した次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
  1. 「X社およびY社のROEはいずれも8%を上回っています。一般に、ROEが高い会社ほど、自己資本の効率的な活用がなされていると判断することができます」
  2. 「X社株式およびY社株式のPBRはいずれも1倍を下回っています。一般に、PBRが低いほど株価は割安と判断されますが、PBRが1倍を大きく下回る株式は、その企業の資本収益性や成長性に対する投資家の評価が低い可能性があります」
  3. 「配当性向は、X社のほうがY社よりも高くなっています。一般に、配当性向が高いほど、株主への利益還元の度合いが高いと考えることができます」

正解 

××

分野

科目:C.金融資産運用
細目:5.株式投資

解説

  1. ×不適切。ROE(自己資本利益率)は「当期純利益÷自己資本×100」で計算し、高いほど効率的に利益を上げていると評価されます。
    • X社 17,000÷250,000×100=6.8%
    • Y社 24,000÷290,000×100=8.2…%
    X社のROEは8%を上回っていないので間違った説明です。
  2. ×不適切。PBR(株価純資産倍率)は「株価÷1株当たり純資産」で計算し、低いほど株価が割安であると評価されます。1株当たり純資産は、純資産の部の額を発行済株式数で除して求めます。
    • X社
      株価 1,500円
      1株当たり純資産 250,000百万円÷180百万株=1,388.8…円
      PBR 1,500円÷1,388.8…円≒1.08倍
    • Y社
      株価 2,400円
      1株当たり純資産 290,000百万円÷100百万株=2,900円
      PBR 2,400円÷2,900円≒0.8倍
    X社のPBRは1倍を下回っていないので間違った説明です。なお、PBRが1倍を大きく下回る株式は、市場から資本収益性や成長性が低い会社と評価されているという記述は正しい説明です。
  3. 〇適切。配当性向は「年間配当金総額÷当期純利益×100」で計算します。
    • X社 6,300÷17,000×100=37.0…%
    • Y社 7,000÷24,000×100=29.1…%
    記述のとおり、配当性向はX社のほうがY社よりも高いです。配当性向は、税引後純利益の中から配当金をどのくらい支払っているかを表す指標なので、高いほど株主への利益還元の度合いは高くなります。