FP2級 2024年5月 実技(金財:個人)問13

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問13

Aさんの相続・事業承継等に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。

  1. 「円滑な遺産分割を行うため、遺言書の作成をお勧めします。Aさんが自筆証書遺言を作成する場合、()における保管制度を活用することで、遺言書の紛失等を防ぐことができます」
  2. 「長男CさんがX社本社建物とその敷地を相続により取得し、当該敷地(相続税評価額8,000万円)について、特定同族会社事業用宅地等として限度面積まで『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、相続税の課税価格に算入すべき当該敷地の価額は()万円となります。なお、自宅敷地とX社本社敷地について、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けようとする場合、()」
  3. 「長女DさんはAさんの相続開始前に死亡しているため、孫EさんはAさんの相続において代襲相続人となります。孫Eさんが相続によりAさんの財産を取得した場合、相続税額の2割加算の対象と()」
  1. イ.1,600
  2. ロ.2,880
  3. ハ.4,000
  4. ニ.家庭裁判所
  5. ホ.法務局
  6. ヘ.公証役場
  7. ト.なります
  8. チ.なりません
  9. リ.それぞれの宅地の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます
  10. ヌ.適用対象面積は所定の算式により調整され、完全併用はできません

正解 

分野

科目:F.相続・事業承継
細目:4.相続と税金

解説

〔①について〕
自筆証書遺言書保管制度は、自筆証書遺言を法務局で安全に保管する仕組みです。自筆証書遺言は改ざんや変造のおそれがあるため、相続開始後、自筆証書遺言の保管者や発見者は家庭裁判所に検認を申し立てなければなりませんが、「自筆証書遺言書保管制度」で保管されていた遺言については、偽造や変造のおそれがないため検認手続きが不要になります。
よって、正解は[ホ]の法務局になります。

〔②について〕
小規模宅地等の評価減の特例における特定同族会社事業用宅地等に該当する場合、適用限度面積は400㎡で減額割合は80%です。500㎡のうち400㎡が80%減額されるので、相続税の課税価格に算入する額は次のように計算します。

 減額分 8,000万円×400㎡500㎡×80%=5,120万円
 課税価格 8,000万円-5,120万円=2,880万円

よって、正解は[ロ]の2,880(万円)になります。

〔③について〕
被相続人から自宅の敷地と事業用の敷地の両方を相続した場合、自宅の敷地は特定居住用宅地等として、事業用の宅地は特定(同族会社)事業用宅地等として、それぞれの限度面積の調整なく併用して適用を受けることができます。居住用は330㎡まで、事業用は400㎡までなので、合わせて730㎡まで適用可能ということです。
よって、正解は[リ]のそれぞれの宅地の適用対象の限度面積まで適用を受けることができますになります。

〔④について〕
相続税の2割加算の対象となるのは、被相続人の配偶者・父母・子以外の人です。孫は2親等なので原則としては2割加算の対象ですが、代襲相続者である孫は、相続人となるべきだった子の立場をそのまま引き継ぐことから、相続税の2割加算の対象外とされています。
よって、正解は[チ]のなりませんになります。