FP2級 2025年5月 実技(金財:個人)問14

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】

問14

Aさんの相続に関する次の記述①~④について、適切なものは○を、不適切なものは×を選択しなさい。
  1. 「円滑な遺産分割のための手段として、遺言書の作成をお勧めします。Aさんが公正証書遺言を作成する場合、2人以上の証人の立会いが必要となるため、妻Bさんや長男Cさんを証人とすることをご検討ください」
  2. 「遺言により、相続財産の大半を妻Bさんと長男Cさんに相続させた場合、長女Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分を算定するための財産の価額が4億円である場合、長女Dさんの遺留分の額は5,000万円になります」
  3. 「長男CさんがAさんから贈与を受けたX社株式について『遺留分に関する民法の特例』の適用を受ける場合、Aさんの推定相続人全員の書面による合意のうえで、X社株式の価額を、遺留分を算定するための財産の価額に算入しないことや、遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を合意時における価額とすることができます」
  4. 「長男CさんがX社本社の敷地と建物を相続により取得し、当該敷地(相続税評価額8,000万円)について、特定同族会社事業用宅地等として限度面積まで『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、相続税の課税価格に算入すべき当該敷地の価額を4,000万円とすることができます」

正解 

××

分野

科目:F.相続・事業承継
細目:3.相続と法律

解説

  1. ×不適切。公正証書遺言を作成する際には証人2人以上の立会いが必要です。この際、未成年者、推定相続人や受贈者とその配偶者・直系血族、公証人の配偶者・4親等内の親族等は証人になることはできません。妻Bさんや長男Cさんは推定相続人なので、証人になることはできません。
  2. 〇適切。配偶者と直系尊属が法定相続人になるケースでは、遺留分全体の額は遺留分算定基礎財産の2分の1であり、これに法定相続分を乗じた額が各人の遺留分です。
    遺留分算定基礎財産が4億円なので、遺留分全体の額は「4億円×1/2=2億円」です。長女Dさんの相続分は「1/2×1/2=1/4」のため、長女Dさんの遺留分は「2億円×1/4=5,000万円」となります。
  3. 〇適切。「遺留分に関する民法の特例」の適用を受けると、後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式について、遺留分の算定基礎となる財産の価額に算入しないようにすること(除外合意)、また遺留分の算定基礎財産に算入する価額を、合意をした時点の価額に固定することができます(固定合意)。
  4. ×不適切。特定同族会社事業用宅地等に該当した場合、小規模宅地等の評価減の特例により、400㎡を限度に相続税の課税価格に算入すべき額が80%減額されます。X社本社の敷地は400㎡なのでそのまま80%が減額されます。
    減額分は「8,000万円×80%=6,400万円」なので、課税価格は「8,000万円-6,400万円=1,600万円」となります。