金融商品と税金(全34問中2問目)

No.2

上場株式等の譲渡および配当等(一定の大口株主等が受けるものを除く)に係る所得税の課税等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、特定口座のうち、源泉徴収がされない口座を簡易申告口座といい、源泉徴収がされる口座を源泉徴収選択口座という。
2023年9月試験 問29
  1. 上場株式等の配当等について、総合課税を選択して確定申告をした場合、上場株式等に係る譲渡損失の金額と損益通算することができる。
  2. 上場株式等に係る配当所得等の金額と損益通算してもなお控除しきれない上場株式等に係る譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。
  3. 簡易申告口座では、源泉徴収選択口座と異なり、その年中における口座内の取引内容が記載された「特定口座年間取引報告書」が作成されないため、投資家自身でその年中の上場株式等に係る譲渡損益および配当等の金額を計算する必要がある。
  4. 年末調整の対象となる給与所得者が、医療費控除の適用を受けるために確定申告をする場合、源泉徴収選択口座における上場株式等に係る譲渡所得等および配当所得等についても申告しなければならない。

正解 2

問題難易度
肢113.8%
肢254.7%
肢316.5%
肢415.0%

解説

  1. 不適切。上場株式の配当所得から上場株式の譲渡損失を控除するためには、どちらも申告分離課税を選択して確定申告をする必要があります。配当所得を総合課税として申告した場合、両者間の損益通算はできません。
    上場株式の配当に係る配当所得の金額について、総合課税を選択して所得税の確定申告をした場合、特定口座内で生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額と損益通算することができる。2024.1-28-1
    上場株式の配当について、総合課税を選択して確定申告をした場合、上場株式の譲渡損失の金額と損益通算することができる。2023.1-28-1
    上場株式の配当について、申告分離課税を選択して確定申告をした場合、上場株式の譲渡損失の金額と損益通算することができる。2019.9-27-2
  2. [適切]。上場株式等に係る配当所得等と損益通算してもなお控除しきれない上場株式の譲渡損失の金額は、確定申告をすることで、翌年以後3年間繰り越して、上場株式等の譲渡所得・配当所得の金額から控除することができます。
    上場株式等に係る配当所得等の金額と損益通算してもなお控除しきれない上場株式等に係る譲渡損失の金額は、所得税の確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。2024.1-28-3
    上場株式等に係る配当所得等の金額と損益通算してもなお控除しきれない上場株式の譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、翌年以後5年間にわたって繰り越すことができる。2023.1-28-2
    損益通算してもなお控除しきれない上場株式の譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。2019.9-27-3
    損益通算してもなお控除しきれない上場株式等の譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。2019.1-29-4
  3. 不適切。特定口座を開設している場合、それが簡易申告口座・源泉徴収口座のどちらであっても、1年間に行った株式の譲渡や配当による収入金額・費用・源泉徴収額・納付税額等を集計した「特定口座年間取引報告書」が作成され、翌年1月31日までに特定口座の名義人に交付されます。
    簡易申告口座でも「特定口座年間取引報告書」が送られてくるので、そこに記載された計算済みの損益や税額を使って比較的簡単に確定申告を行うことができます。自ら損益や税額の計算をしなくてはならないのは一般口座です。
  4. 不適切。源泉徴収選択口座内の上場株式等に係る譲渡所得等および配当所得等は、確定申告不要とすることができます。確定申告不要制度を利用した場合、その所得は合計所得金額から除外されるので、他の所得や控除について確定申告をするときでも申告する必要はありません。もちろん申告分離課税を選択した場合には申告が必要です。
したがって適切な記述は[2]です。