FP2級過去問題 2023年1月学科試験 問28

問28

上場株式の譲渡および配当(一定の大口株主等が受けるものを除く)に係る税金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、NISA(少額投資非課税制度)により投資収益が非課税となる口座をNISA口座という。
  1. 上場株式の配当について、総合課税を選択して確定申告をした場合、上場株式の譲渡損失の金額と損益通算することができる。
  2. 上場株式等に係る配当所得等の金額と損益通算してもなお控除しきれない上場株式の譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、翌年以後5年間にわたって繰り越すことができる。
  3. NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択しなければならない。
  4. NISA口座で保有する上場株式を売却したことで生じた譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、特定口座内の上場株式の譲渡益の金額と通算することができる。

正解 3

問題難易度
肢117.6%
肢211.3%
肢361.8%
肢49.3%

解説

  1. 不適切。上場株式の配当所得と上場株式の譲渡損失を通算するためには、どちらも申告分離課税を選択して確定申告をする必要があります。総合課税の配当所得から上場株式の譲渡損失を控除することはできません。
    上場株式の配当に係る配当所得の金額について、総合課税を選択して所得税の確定申告をした場合、特定口座内で生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額と損益通算することができる。2024.1-28-1
    上場株式等の配当等について、総合課税を選択して確定申告をした場合、上場株式等に係る譲渡損失の金額と損益通算することができる。2023.9-29-1
    上場株式の配当について、申告分離課税を選択して確定申告をした場合、上場株式の譲渡損失の金額と損益通算することができる。2019.9-27-2
  2. 不適切。上場株式等に係る配当所得等と損益通算してもなお控除しきれない上場株式の譲渡損失の金額は、確定申告をすることで、翌年以後3年間繰り越して、上場株式等の譲渡所得から控除することができます。5年間ではありません。
    上場株式等に係る配当所得等の金額と損益通算してもなお控除しきれない上場株式等に係る譲渡損失の金額は、所得税の確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。2024.1-28-3
    上場株式等に係る配当所得等の金額と損益通算してもなお控除しきれない上場株式等に係る譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。2023.9-29-2
    損益通算してもなお控除しきれない上場株式の譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。2019.9-27-3
    損益通算してもなお控除しきれない上場株式等の譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。2019.1-29-4
  3. [適切]。配当金の受取方法には、①株式数比例配分方式、②配当金領収証方式、③登録配当金受領口座方式、④個別銘柄指定方式の4種類がありますが、NISA口座で受け取った配当金を非課税扱いするためには「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。
    【参考】株式数比例配分方式を選択することで、非課税口座で保有する株式の配当は非課税口座に、課税口座で保有している株式の配当は課税口座に入金されることになります。他の方式では非課税口座と課税口座の配当が区別されずにまとめて支払われ、どの口座で買い付けた株式の配当なのか区別できないので非課税になりません。
    NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択しなければならない。2024.1-28-2
    NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として登録配当金受領口座方式を選択しなければならない。2023.5-29-1
    「成長投資枠」で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択しなければならない。2021.5-28-2
    NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として配当金領収証方式を選択しなければならない。2020.9-28-4
    「つみたて投資枠」で保有する上場投資信託(ETF)の分配金を非課税扱いにするためには、分配金の受取方法として株式数比例配分方式を選択しなければならない。2018.9-30-3
    「成長投資枠」で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択しなければならない。2018.5-29-3
    NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択しなければならない。2017.9-28-4
    NISA口座で保有する金融商品の配当金を非課税にするためには、株式数比例配分方式を選択しなければならない。2017.1-28-4
  4. 不適切。NISA口座で生じた譲渡損失はなかったものとされるので、一般口座や特定口座で生じた譲渡益や配当金との損益通算をすることはできません。NISA口座は利益が出たときには非課税になるというメリットがありますが、損失が出たときには他の口座と損益通算等ができない点がデメリットです。
    NISA口座で保有する金融商品を売却することで生じた譲渡損失の金額は、確定申告を行うことにより、同一年中に特定口座や一般口座で保有する金融商品を売却することで生じた譲渡益の金額と通算することができる。2023.5-29-2
    「つみたて投資枠」に受け入れている金融商品を売却することで生じた譲渡損失は、確定申告を行うことにより、同一年中に特定口座や一般口座で保有する金融商品を売却することで生じた譲渡益と通算することができる。2022.5-29-3
    「つみたて投資枠」に受け入れている金融商品を売却することで生じた譲渡損失は、確定申告を行うことにより、同一年中に特定口座や一般口座で保有する金融商品を売却することで生じた譲渡益と通算することができる。2022.1-29-2
    「成長投資枠」で保有する金融商品を売却することで生じた譲渡損失の金額は、確定申告を行うことにより、同一年中に特定口座や一般口座で保有する金融商品を売却することで生じた譲渡益の金額と通算することができる。2021.5-28-3
    NISA口座で保有する上場株式を譲渡して損失が生じた場合、確定申告を行うことにより、同一年中の特定口座や一般口座における上場株式の譲渡益と損益を通算することができる。2020.9-28-1
    NISA口座で保有する上場株式を売却することにより生じた損失は、確定申告を行うことにより、特定口座や一般口座で保有する他の上場株式等の譲渡益と通算できる。2017.9-28-2
したがって適切な記述は[3]です。