不動産の取引(全95問中81問目)

No.81

借地借家法等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、借地借家法における定期建物賃貸借契約以外の契約を普通借家契約という。
2014年9月試験 問44
  1. 建物の賃貸人と賃借人の合意に基づき、賃貸借期間を1年未満として普通借家契約を締結した場合、当該契約は期間の定めのない借家契約とみなされる。
  2. 期間の定めのない借家契約について賃借人が解約を申し入れた場合、当該契約は解約の申入れの日から6ヵ月経過後に終了する。
  3. 建物の賃借人が賃貸人の同意を得て室内に設置したエアコンなどの造作について、借家契約終了時に賃借人が賃貸人にその買取りを請求しない旨をあらかじめ特約しても、その特約は無効となる。
  4. 普通借家契約において建物の借賃を減額しない旨の特約がある場合、賃借人はいかなる場合も賃貸人に借賃の減額を請求することはできない。

正解 1

問題難易度
肢175.8%
肢29.9%
肢37.7%
肢46.6%

解説

  1. [適切]。普通借家契約の存続期間は、1年以上(上限なし)です。1年未満の存続期間の定めは無効となり、期間の定めがない契約とみなされます。
    建物の賃貸人と賃借人の合意に基づき、賃貸借期間を1年未満として普通借家契約を締結した場合、当該契約は期間の定めのない建物賃貸借契約とみなされる。2021.3-44-2
    建物の賃貸人と賃借人の合意に基づき、賃貸借期間を6ヵ月として普通借家契約を締結した場合、当該契約の賃貸借期間は1年とみなされる。2016.1-44-1
  2. 不適切。期間の定めがない借家契約では、貸主からの解約申入れには正当事由が必要で申入れから6か月で終了、借主からの解約申入れには正当事由が不要で申入れから3か月で終了という違いがあります。本肢は、借主側からの解約申入れなので申入れの日から3か月経過後に終了します。
    期間の定めのない普通借家契約において、建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをし、正当の事由があると認められる場合、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6ヵ月を経過することによって終了する。2023.9-45-2
    賃貸借期間の定めのない普通借家契約では、賃借人が解約の申入れをした場合、当該契約は解約の申入れの日から6ヵ月を経過することによって終了する。2016.9-44-2
  3. 不適切。建物の賃貸借では、賃貸人の承諾を得て取り付けた造作を、契約が終了したとき賃貸人に買い取るよう請求できます。これを造作買取請求権といいます。造作買取請求権は任意規定なので、普通借家契約・定期借家契約どちらでも特約で排除することが可能です。
    建物の賃借人が賃貸人の同意を得て建物に設置した空調設備などの造作について、借家契約終了時に賃借人が賃貸人にその買取りを請求しない旨の特約は有効である。2015.9-44-3
  4. 不適切。借地借家法には、法の定めにより借主に不利な特約を無効とする規定があります。借賃を増額しない旨の特約は有効ですが、借賃を減額しない旨の特約は借主に不利なので、定期借家契約を除いて無効となります。本肢は普通借家契約ですので無効な特約です。よって、特約があっても減額請求をすることができます。
    普通借家契約において、一定の期間、建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合、当事者はその定めに従う。2015.9-44-2
したがって適切な記述は[1]です。