FP2級過去問題 2021年3月学科試験 問44

問44

借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、借地借家法における定期建物賃貸借契約以外の建物賃貸借契約を普通借家契約という。
  1. 賃貸借の目的である建物の用途が店舗や倉庫等の事業用である場合、その建物の賃貸借については借地借家法が適用されない。
  2. 建物の賃貸人と賃借人の合意に基づき、賃貸借期間を1年未満として普通借家契約を締結した場合、当該契約は期間の定めのない建物賃貸借契約とみなされる。
  3. 建物の賃借人が賃貸人の同意を得て建物に設置した空調設備などの造作について、建物賃貸借契約終了時に賃借人が賃貸人にその買取りを請求しない旨の特約は有効である。
  4. 賃借人は、原則として、建物の賃借権の登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物の物権を取得した者に対し、建物の賃借権を対抗することができる。

正解 1

解説

  1. [不適切]。借地借家法は、建物の用途にかかわらず適用されるので、事業用建物の賃貸借にも適用されます。ただし、選挙事務所など一時使用のための賃貸借であることが明らかな場合は借地借家法の適用外です。
    賃貸借の目的である建物の用途が店舗や倉庫等の事業用である場合であっても、その建物の賃貸借に借地借家法が適用される。2016.5-44-1
    賃貸借の目的である建物の用途が店舗や倉庫等の事業用である場合、その建物の賃貸借については借地借家法は適用されない。2015.9-44-1
    賃貸借の目的である建物の用途が店舗等の事業用であっても、その建物の賃貸借については借地借家法が適用される。2015.1-44-1
    賃貸借の目的である建物の用途が店舗等の事業用である場合、その建物の賃貸借については、借地借家法は適用されない。2013.9-44-1
  2. 適切。普通借家契約の存続期間は、1年以上(上限なし)です。1年未満の存続期間の定めは無効となり、期間の定めがない契約とみなされます。
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    建物の賃貸人と賃借人の合意に基づき、賃貸借期間を6ヵ月として普通借家契約を締結した場合、当該契約の賃貸借期間は1年とみなされる。2016.1-44-1
    建物の賃貸人と賃借人の合意に基づき、賃貸借期間を1年未満として普通借家契約を締結した場合、当該契約は期間の定めのない借家契約とみなされる。2014.9-44-1
  3. 適切。建物賃貸借において、賃貸人(貸主)の同意を得て賃借人(借主)が設置した造作(例えばエアコン)について、賃借人は借家契約終了の際に時価での買取りを請求できます。これを「造作買取請求権」といいます。
    賃貸人は、建物の賃貸借契約時に賃借人に対して造作買取請求権を放棄するよう特約をつけることで、賃貸人に買取りを請求しないようにすることもできます。
    普通借家契約において、賃借人が賃貸人の同意を得て建物に付加した造作について、賃貸借終了時、賃借人が賃貸人に、その買取りを請求しない旨の特約をした場合、その特約は無効である。2024.1-43-2
    普通借家契約において、賃借人が賃貸人の同意を得て建物に設置した造作について、賃貸借終了時、賃借人が賃貸人にその買取りを請求しない旨の特約をすることができる。2021.5-43-4
    定期借家契約において、賃貸人の同意を得て賃借人が設置した造作について、期間の満了時に賃借人が賃貸人に買取りを請求しないこととする特約をすることはできない。2020.9-45-3
    定期借家契約において、賃借人が賃貸人の同意を得て設置した造作について、「期間満了時、賃借人は賃貸人に対し、造作を時価で買い取るよう請求することができない」という特約は有効である。2017.5-45-3
  4. 適切。建物の賃借権は、①賃借権の登記または②建物の引渡しが対抗要件になっています。建物が引き渡された時点で対抗要件を備えますから、その建物の新所有者に対しても賃借権を対抗できます。
    定期借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に建物の賃借権を対抗することができる。2023.1-45-2
    普通借家契約において、賃借人は、原則として、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。2021.5-43-2
    普通借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。2021.1-44-2
    普通借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後、その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。2019.9-45-2
    普通借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に対抗することができる。2018.5-45-2
    普通借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。2017.1-45-4
    定期借家契約において、建物賃借人は、その建物について賃借権の登記がなくても、建物の引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。2016.5-44-4
    普通借家契約では、賃借権の登記がなくても建物の引渡しがあれば、その後にその建物の所有権を取得した者に対して、賃借人は、建物の賃借権を対抗することができる。2016.1-44-3
    普通借家契約において、賃借人は建物に賃借権の登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物の所有権を取得した者に対し、建物の賃借権を対抗することができる。2015.9-44-4
したがって不適切な記述は[1]です。