FP2級過去問題 2014年5月学科試験 問53

問53

相続時精算課税制度(以下「本制度」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 本制度を選択した場合の贈与税額は、その年分の特定贈与者ごと贈与税の課税価格から基礎控除額および特別控除額(累計で2,500万円)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて計算する。
  2. 本制度を一度選択すると、その選択した年以後に特定贈与者から贈与を受けた財産については本制度の適用を受けることとなり、本制度の選択を撤回して暦年課税に変更することはできない。
  3. 本制度を選択しようとする受贈者は、贈与税の申告書に相続時精算課税選択届出書をその他一定の書類とともに添付して、その選択に係る最初の贈与を受けた年分の贈与税の申告期限までに納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
  4. 本制度に係る特定贈与者が死亡した場合、その特定贈与者の相続に係る相続税の課税価格には、本制度の適用を受けた贈与財産の相続開始時における価額から基礎控除額を控除した残額が加算される。

正解 4

問題難易度
肢112.7%
肢211.7%
肢313.7%
肢461.9%

解説

  1. 適切。相続時精算課税制度は、60歳以上の父母または祖父母(特定贈与者)から18歳以上の子や孫への贈与のうち、基礎控除額(年間110万円)を超える部分について、累計で2,500万円を限度として贈与税が非課税となる制度です。2,500万円を超えた部分は、一律20%の税率で贈与税が課されます。
    相続時精算課税制度を選択した場合の贈与税の税額は、特定贈与者ごとに、贈与財産の価額から、累計2,500万円の特別控除額を控除した後の残額に所定の税率を乗じて計算する。2018.1-52-4
    本制度を選択した場合の贈与税額は、その年分の特定贈与者ごとの贈与金額から基礎控除額および特別控除額を控除した後の額に、最高50%の超過累進税率を乗じて計算する。2013.9-60-2
  2. 適切。相続時精算課税制度は、一度選択するとその年以後贈与者が亡くなる時まで継続して適用されます。このため、その贈与者からの贈与については暦年課税で申告することはできません。
    本制度を一度選択した受贈者は、その選択した年以後に特定贈与者から贈与を受けた財産については、すべて本制度の適用を受けることとなり、その選択を撤回することができない。2013.1-60-4
  3. 適切。相続時精算課税制度の適用を受ける場合、最初に贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、贈与税の申告書に「相続時精算課税選択届出書」を添付して税務署長に提出する必要があります。
    本制度を選択しようとする受贈者は、贈与税の申告書に相続時精算課税選択届出書をその他一定の書類とともに添付して、その選択に係る最初の贈与を受けた年分の贈与税の申告期限までに提出しなければならない。2013.1-60-3
  4. [不適切]。相続開始時における価額ではありません。相続時精算課税の適用を受けて非課税となった贈与財産は、贈与時の価額から基礎控除額を控除した残額を相続税の課税価格に算入します。
したがって不適切な記述は[4]です。