FP2級過去問題 2016年5月学科試験 問24

問24

債券の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 割引債の現在価値は、将来価値(額面100円)に複利現価率を乗じたものとなる。
  2. 額面金額100万円につき1年間に税引前で2万円の利子が支払われる固定利付債の表面利率は、2%である。
  3. 短期債と長期債を比較した場合、他の条件が同じであれば、長期債の方が金利変動に伴う債券価格の変動が大きい。
  4. 固定利付債と変動利付債を比較した場合、他の条件が同じであれば、変動利付債の方が金利変動に伴う債券価格の変動が大きい。

正解 4

問題難易度
肢133.1%
肢215.4%
肢318.4%
肢433.1%

解説

  1. 適切。割引債とは利子が支払われない代わりに、額面金額から一定額を割り引いた金額で発行される債券です。ゼロクーポン債とも呼ばれます。その現在価値は、将来価値(額面100円)を最終利回りで割り引いた額、すなわち複利現価率(現価係数)を乗じたものとなります。
  2. 適切。固定利付債とは固定の利息が支払われる債券です。「額面×表面利率=利子額」になるので、「100万円×表面利率=2万円」という関係より、表面利率は2%とわかります。
    額面金額100万円につき1年間に税引前で2万円(半年ごとに1万円ずつ)の利子が支払われる固定利付債の表面利率(クーポンレート)は、0.2%である。2021.3-23-1
  3. 適切。固定利付債券では将来の利息(クーポン)が固定されているため、金利が変動した際は償還差益で価値の調整が行われます。この際、利息収入の割合が大きい(=残存期間が長い)債券ほど、所定の利回りに合わせるために必要な償還差益の調整幅も大きくなります。そのため、短期債よりも長期債のほうが金利変動に対する価格変動幅(金利感応度)は大きくなります。
  4. [不適切]。変動利付債よりも固定利付債のほうが価格変動は大きくなります。固定利付債は利率が固定されているため、金利の上昇局面では相対的に魅力が低下するので価格が下落し、逆に金利が低下すれば価格が上昇します。一方で、変動利付債は市場金利に応じて利息が見直されるため、価格変動が抑えられます。
したがって不適切な記述は[4]です。