FP2級過去問題 2016年9月学科試験 問18

問18

法人が契約者(=保険料負担者)である損害保険契約に係る経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. すべての従業員を被保険者とする普通傷害保険の月払保険料は、支払った保険料の全額を損金に算入する。
  2. 業務中の事故で従業員が死亡し、普通傷害保険の死亡保険金を従業員の遺族が保険会社から受け取った場合、法人は死亡保険金相当額を死亡退職金として損金に算入する。
  3. 積立火災保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、受け取った全額を益金に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を損金に算入する。
  4. 法人が所有する業務用自動車が事故で全損したことにより受け取った自動車保険の車両保険金で同一年度内に代替の車両を取得した場合、所定の要件に基づき圧縮記帳が認められる。

正解 2

問題難易度
肢111.0%
肢267.3%
肢312.7%
肢49.0%

解説

  1. 適切。従業員を被保険者とする普通傷害保険の月払保険料は、全額を支払保険料として損金算入します。
    すべての従業員を被保険者とする普通傷害保険の月払保険料は、支払った保険料の全額を損金に算入する。2018.5-17-1
  2. [不適切]。業務中の事故で従業員が死亡し、普通傷害保険の死亡保険金を従業員の遺族が保険会社から直接受け取った場合、法人は何ら経理処理することはありません。法人としては資産計上されている額がないので取り崩す必要もなく、受け取ったわけでもないので収益として計上する必要もないからです。
    業務中の事故で従業員が死亡し、普通傷害保険の死亡保険金が保険会社から従業員の遺族へ直接支払われた場合、法人は死亡保険金相当額を死亡退職金として損金の額に算入することができる。2021.5-18-4
    業務中の事故で従業員が死亡し、普通傷害保険の死亡保険金が保険会社から従業員の遺族へ直接支払われた場合、法人は死亡保険金相当額を死亡退職金として損金の額に算入することができる。2021.1-19-3
    業務中の事故で従業員が死亡し、普通傷害保険の死亡保険金を従業員の遺族が保険会社から受け取った場合、法人は死亡保険金相当額を死亡退職金として損金に算入する。2018.5-17-3
    従業員が業務中の事故により死亡し、普通傷害保険の死亡保険金を従業員の遺族が保険会社から直接受け取った場合、法人は死亡保険金に関して経理処理をする必要はない。2013.5-17-1
  3. 適切。満期返戻金や解約返戻金を法人が受け取った場合は、受け取った全額を益金に算入して、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を損金に算入します。そして、その差額がある場合には雑収入または雑損益として計上します。
    積立傷害保険が満期を迎え、法人が満期返戻金と契約者配当金を受け取った場合、その全額を益金の額に算入し、資産に計上していた積立保険料の累計額を損金の額に算入することができる。2022.5-18-4
    積立火災保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、いずれもその2分の1相当額を益金の額に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を損金の額に算入することができる。2021.5-18-2
    積立普通傷害保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、いずれも全額を益金の額に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を取り崩して損金の額に算入することができる。2021.1-19-4
    積立火災保険の満期返戻金を法人が受け取った場合、受け取った全額を益金の額に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を損金の額に算入する。2019.9-18-2
    積立火災保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、受け取った全額を益金に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を損金に算入する。2018.5-17-4
    積立傷害保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、受け取った全額を益金に算入し、資産計上していた積立保険料の累計額を損金に算入する。2013.5-17-3
  4. 適切。法人所有の建物や車両など、固定資産の損害に対する保険金を受け取り、一定期間内に代替資産を取得(改良)する場合、圧縮記帳が認められます。
    圧縮記帳とは、代替資産の取得時に所定の計算式で求めた「固定資産圧縮損」を計上して取得した固定資産の帳簿価額を下げる経理処理で、受け取った保険金に対する課税を繰り延べる効果があります。
    法人が所有する業務用自動車が交通事故で全損となり、受け取った自動車保険の車両保険の保険金で同一事業年度内に代替車両を取得した場合であっても、圧縮記帳は認められない。2021.5-18-3
    法人が所有する業務用自動車が交通事故で全損となり、受け取った自動車保険の車両保険の保険金で同一事業年度内に代替車両を取得した場合、所定の要件に基づき圧縮記帳が認められる。2021.1-19-2
    法人が所有する業務用自動車が事故で全損したことにより受け取った自動車保険の車両保険金で同一年度内に代替の車両を取得した場合、所定の要件に基づき圧縮記帳が認められる。2018.5-17-2
したがって不適切な記述は[2]です。