FP2級過去問題 2017年1月学科試験 問56(改題)

問56

相続税の課税財産に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 被相続人がその相続開始時に有していた事業上の売掛金は、相続税の課税対象となる。
  2. 被相続人が自動車事故により死亡し、加害者が加入していた自動車保険契約に基づき、被相続人の遺族である相続人が受け取った対人賠償保険金は、相続財産とみなされて相続税の課税対象となる。
  3. 相続または遺贈により財産を取得しなかった被相続人の母が、その相続開始前7年以内に被相続人から暦年課税による贈与により取得した財産は、相続税の課税対象とならない。
  4. 被相続人の死亡によって、被相続人に支給されるべきであった退職手当金で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続財産とみなされて相続税の課税対象となる。

正解 2

問題難易度
肢13.7%
肢269.1%
肢321.4%
肢45.8%

解説

  1. 適切。売掛金や貸付金など被相続人がその相続開始時に有していた債権は、相続税の課税対象となります。
    被相続人がその相続開始時に有していた事業上の売掛金は、相続税の課税対象となる。2021.9-54-1
    被相続人が相続開始時に有していた事業上の貸付金である債権は、相続税の課税対象となる。2019.5-55-3
    被相続人がその相続開始時に有していた事業上の売掛金は、相続税の課税対象となる。2018.1-56-1
  2. [不適切]。加害者の加入している自動車保険から支払われた対人賠償保険金は、死亡した人の遺族に支払われるため相続税は課税されません。なお、自動車保険の保険金は所得税法上の非課税所得となります。
    被相続人が交通事故により死亡し、加害者が加入していた自動車保険契約に基づき、相続人が受け取った対人賠償保険の保険金は、相続税の課税対象となる。2020.9-55-1
    被相続人が交通事故により死亡し、加害者が加入していた自動車保険契約に基づき、相続人が受け取った対人賠償保険の保険金は、相続税の課税対象となる。2019.5-55-4
    被相続人が自動車事故により死亡し、加害者が加入していた自動車保険契約に基づき、被相続人の遺族である相続人が受け取った対人賠償保険金は、相続税の課税対象とならない。2018.1-56-2
  3. 適切。相続財産を取得した者が、相続開始前7年以内に被相続人から暦年課税で贈与を受けていた場合、その贈与財産の価額は、原則として相続税の課税価格に加算されて課税対象となります(生前贈与加算)。しかし、本肢の母のように相続・遺贈で財産を取得しなかった者については、生前贈与加算の対象外です。
    被相続人から相続開始前7年以内に暦年課税による贈与により取得した上場株式は、その者が相続や遺贈により財産を取得したかどうかにかかわらず、相続税の課税対象となる。2022.1-57-3
    相続または遺贈により財産を取得した者が、相続開始前7年以内に被相続人から暦年課税の適用を受けて贈与により取得した財産は、原則として相続税の課税対象となる。2021.9-54-4
    被相続人から相続時精算課税による贈与により取得した財産は、その者が相続または遺贈により財産を取得したかどうかにかかわらず、相続税の課税対象となる。2020.9-55-3
    相続または遺贈により財産を取得した者が、相続開始前7年以内に被相続人から暦年課税による贈与により取得した財産は、原則として相続税の課税対象となる。2020.9-55-4
    相続または遺贈により財産を取得した者が、相続開始前7年以内に被相続人から暦年課税による贈与により取得した財産は、原則として相続税の課税対象となる。2019.5-55-1
    相続または遺贈により財産を取得しなかった者が、その相続の開始前7年以内にその相続に係る被相続人から暦年課税による贈与によって取得した財産は、相続税の課税対象とならない。2018.1-56-3
    相続人が相続開始前7年以内に被相続人から財産の贈与を受け、暦年課税を選択していた場合、その者が相続または遺贈により財産を取得しなかったとしても、当該財産は相続税の課税対象となる。2014.1-55-4
  4. 適切。被相続人の死亡によって、被相続人に支給されるべきであった退職手当金のうち、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものについては、相続財産とみなされて相続税の課税対象となります。これに対して、死亡から3年を超えた後に支給が確定したものについては遺族の一時所得として所得税の課税対象となります。
    被相続人の死亡により、当該被相続人に支給されるべきであった退職手当金で被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものについて、相続人がその支給を受けた場合、当該退職手当金は、相続税の課税対象となる。2023.9-57-4
    被相続人に支給されるべきであった退職手当金で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続税の課税対象となる。2021.9-54-2
    被相続人の死亡によって被相続人に支給されるべきであった退職手当金で、被相続人の死亡後3年を超えてから支給が確定したものは、相続財産とみなされて相続税の課税対象となる。2018.1-56-4
したがって不適切な記述は[2]です。