FP2級過去問題 2018年1月学科試験 問59

問59

不動産を相続した場合の相続税の納税資金対策に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 相続税は金銭による一括納付が原則であるが、一括納付が困難な場合には、納税義務者は、任意に延納または物納を選択することができる。
  2. 延納の許可を受けた相続税額について、一定の要件を満たせば延納から物納へ変更することができる。
  3. 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた宅地等を物納する場合の収納価額は、原則として特例適用後の価額となる。
  4. 相続人が相続した土地等を相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内に譲渡した場合には、その相続人の相続税額のうちその土地等に対応する部分の金額を譲渡所得の金額の計算上、取得費に加算することができる。

正解 1

問題難易度
肢166.8%
肢29.4%
肢311.4%
肢412.4%

解説

  1. [不適切]。任意の選択はできません。相続税は金銭による一括納付が原則ですが、納付すべき相続税額が10万円を超える場合には申告期限までに申請書を提出し認められれば延納ができます。さらに延納が困難な場合には物納の申請をすることができます。
    相続税は金銭による一括納付が原則であるが、一括納付が困難な場合には、納税義務者は、任意に延納または物納を選択することができる。2020.9-59-2
    相続税は金銭による一括納付が原則であるが、一括納付が困難な場合には、納税義務者は、任意に延納または物納を選択することができる。2019.9-59-2
  2. 適切。延納の許可を受けた相続税額は、申告期限までに申請書を提出し、許可を受けることで、納付を困難とする金額を限度に物納へ変更することができます。
    延納の許可を受けた相続税額について、所定の要件を満たせば、延納から物納へ変更することができる。2021.1-58-4
    延納の許可を受けた相続税額について、所定の要件を満たせば延納から物納へ変更することができる。2020.1-59-3
  3. 適切。物納財産の収納価額は、相続税の課税価格に算入した額によるため、小規模宅地等の評価減の特例の適用を受けた相続財産を物納する場合、収納価額は特例適用後の価格となります。
    「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた宅地等を物納する場合の収納価額は、特例適用後の価額である。2020.9-59-3
    「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた宅地等を物納する場合の収納価額は、特例適用後の価額である。2020.1-59-1
    「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた宅地等を物納する場合の収納価額は、特例適用前の価額である。2019.9-59-4
  4. 適切。相続や遺贈により取得した財産を、相続の申告期限から3年(相続開始から3年10か月)以内に譲渡した場合には、相続税額のうちその財産に対応する金額を譲渡所得計算上の取得費に加算することができます(取得費加算の特例)。
したがって不適切な記述は[1]です。