FP2級過去問題 2020年9月学科試験 問59

問59

不動産に係る相続対策等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 相続により土地を取得した者がその相続に係る相続税を延納する場合、担保として不適格なものでなければ、取得した土地を延納の担保として提供することができる。
  2. 相続税は金銭による一括納付が原則であるが、一括納付が困難な場合には、納税義務者は、任意に延納または物納を選択することができる。
  3. 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた宅地等を物納する場合の収納価額は、特例適用後の価額である。
  4. 相続時精算課税制度は、所定の要件を満たせば、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例」と併用して適用を受けることができる。

正解 2

問題難易度
肢16.2%
肢267.4%
肢311.9%
肢414.5%

解説

  1. 適切。相続税を延納する場合、担保を提供しなくてはいけません。担保財産は、相続や遺贈により取得した財産に限られず、相続人固有の財産でも第三者が所有する財産でもよいことになっています。相続により取得した土地でも問題ありません。
    相続により土地を取得した者がその相続に係る相続税を延納する場合、担保として不適格なものでなければ、取得した土地を延納の担保として提供することができる。2019.9-59-1
  2. [不適切]。記述中の「任意に選択できる」の部分が不適切です。
    相続税は金銭による一括納付が原則ですが、納付すべき相続税額が10万円を超え、金銭で納付することが困難な理由があるときは延納の申請ができます。さらに延納が困難な場合には物納の申請をすることができます。
    相続税は金銭による一括納付が原則であるが、一括納付が困難な場合には、納税義務者は、任意に延納または物納を選択することができる。2019.9-59-2
    相続税は金銭による一括納付が原則であるが、一括納付が困難な場合には、納税義務者は、任意に延納または物納を選択することができる。2018.1-59-1
  3. 適切。物納財産の収納価額は、相続税の課税価格に算入した額によるため、小規模宅地等の評価減の特例の適用を受けた相続財産を物納する場合、収納価額は特例適用後の価格となります。
    「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた宅地等を物納する場合の収納価額は、特例適用後の価額である。2020.1-59-1
    「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた宅地等を物納する場合の収納価額は、特例適用前の価額である。2019.9-59-4
    小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた宅地等を物納する場合の収納価額は、原則として特例適用後の価額となる。2018.1-59-3
  4. 適切。相続時精算課税制度と「直系尊属からの住宅資金等贈与の特例」は併用することができます。
    相続時精算課税制度は、所定の要件を満たせば、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例」と併用して適用を受けることができる。2018.5-59-2
したがって不適切な記述は[2]です。