FP2級過去問題 2021年1月学科試験 問1

問1

ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の顧客に対する行為に関する次の記述のうち、関連法規に照らし、最も不適切なものはどれか。
  1. 社会保険労務士の資格を有しないFPのAさんは、顧客から公的年金の老齢給付の繰上げ受給について相談を受け、顧客の「ねんきん定期便」の年金受取見込額を基に、繰り上げた場合の年金額を試算した。
  2. 金融商品取引業の登録を受けていないFPのBさんは、顧客から確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)について相談を受け、iDeCoの運用商品の特徴について説明した。
  3. 税理士の資格を有しないFPのCさんは、顧客からふるさと納税について相談を受け、寄附金控除の仕組みについて説明した。
  4. 司法書士の資格を有しないFPのDさんは、住宅ローンを完済した顧客から、抵当権の抹消登記について相談を受け、申請書を作成して登記手続を代行した。

正解 4

問題難易度
肢14.8%
肢22.9%
肢32.3%
肢490.0%

解説

  1. 適切。社会保険労務士の独占業務は、労働社会保険諸法令に基づく「申請書類の作成、提出手続きの代行」「申告等の代理」「帳簿書類の作成」です。社労士資格を有しないFPであっても、(FP検定の実技問題のように)個別具体的な年金額の試算をすることは可能です。
    社会保険労務士の資格を有しないFPのCさんは、顧客から老齢基礎年金の繰下げ受給について相談を受け、顧客の「ねんきん定期便」の年金受取見込額を基に、繰り下げた場合の年金額を試算した。2021.5-1-3
    社会保険労務士の資格を有しないFPのCさんは、顧客から老齢基礎年金の繰下げ受給について相談を受け、顧客の「ねんきん定期便」の年金受取見込額を基に、繰り下げた場合の年金額を試算した。2020.1-1-3
    社会保険労務士の資格を有しないFPのCさんは、顧客から公的年金の老齢給付の繰上げ受給について相談を受け、顧客の「ねんきん定期便」に記載されている年金見込額を基に、繰り上げた場合の年金額を試算した。2019.9-1-3
  2. 適切。金融商品取引業者の登録を受けていないFPが、投資顧問契約に基づく助言や代理に係る業務を行うことはできませんが、金融商品の一般的な特徴を説明したり、公開されている企業業績や景気動向などの資料を提供したりすることは可能です。よって、iDeCoの運用商品の特徴について説明しても問題ありません。
    金融商品取引業の登録を受けていないFPのCさんは、顧客からiDeCo(確定拠出年金の個人型年金)について相談を受け、iDeCoの運用商品の一般的な特徴について無償で説明した。2024.1-1-3
  3. 適切。税理士の独占業務は、「税務代理」「税務書類の作成」、個別具体的な「税務相談」の3つです。税理士の登録を受けていないFPであっても、税法や税制の一般的な説明をする分には問題ありません。
  4. [不適切]。司法書士の独占業務は、他人の依頼を受けて業として行う「登記・供託に関する手続の代理」「法務局に提出する書類や電磁的記録の作成」です。この2つの業務は有償無償を問わず司法書士の独占業務ですので、資格をもたないFPが登記を代行すると司法書士法違反となります。
    司法書士資格を有しないファイナンシャル・プランナーのDさんは、住宅ローンを完済した顧客の抵当権の抹消登記に関し、申請書類を作成して登記申請を代行した。2017.5-1-4
したがって不適切な記述は[4]です。