FP2級過去問題 2022年9月学科試験 問21

問21

為替相場や金利の変動要因に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 日本の貿易黒字の拡大は、一般に、円安要因となる。
  2. 日本の物価が米国と比較して相対的に上昇することは、一般に、円安要因となる。
  3. 米国が政策金利を引き上げることにより、日本と米国との金利差が拡大することは、一般に、円安要因となる。
  4. 日本銀行の金融市場調節の主な手段の1つである公開市場操作において、日本銀行が国債の買入れを行うことで市中に出回る資金量が増加することは、一般に、市中金利の低下要因となる。

正解 1

問題難易度
肢162.6%
肢220.8%
肢34.9%
肢411.7%

解説

  1. [不適切]。貿易黒字とは、国内から海外への輸出額が、海外から国内への輸入額を上回っている状態です。貿易黒字が拡大すると、一般的に売上として受け取った外貨を円貨に交換する需要が高まるため、円高の要因となります。
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    日本の対米貿易赤字が拡大することは、一般に円安米ドル高の要因となる。2023.5-21-3
  2. 適切。日本国内の物価が上昇すると、日本国内の物の価値が上がり、相対的に通貨の価値が下がることになります。米国と比較し円通貨の価値が下がることは、一般に、円安米ドル高の要因となります。
    日本の物価が米国と比較して相対的に上昇することは、一般に円高米ドル安の要因となる。2023.5-21-1
    米国の物価が日本と比較して相対的に上昇することは、一般に、円安米ドル高要因となる。2019.9-21-2
    日本の対米貿易黒字の拡大は、一般に、円高米ドル安要因となる。2019.9-21-3
    日本の物価が米国と比較して相対的に上昇し、過度なインフレが予想されるとき、一般に、円高傾向となる。2017.9-21-4
  3. 適切。米国が政策金利を引き上げ、日本との金利差が拡大すると、市場は円を売ってドルを買う流れが強まります。そのため一般に、為替相場は円安米ドル高の流れとなります。
    米国が政策金利を引き上げ、日本と米国との金利差が拡大することは、一般に円安米ドル高の要因となる。2023.5-21-2
    米国が政策金利を引き上げ、日本との金利差が拡大することは、一般に、円安米ドル高要因となる。2019.9-21-4
    米国の金利が上昇し日本との金利差の拡大が予想されるとき、一般に、円高傾向となる。2017.9-21-1
    米国が政策金利を引き上げ、日本との金利差が拡大することは、円とドルの為替相場において、円安要因となる。2016.9-21-4
  4. 適切。公開市場操作は、日本銀行が実施する財政政策の1つで通貨の市場流通量を調整することを目的とします。公開市場操作には買いオペレーションと売りオペレーションがあります。
    買いオペレーション(通称、買いオペ)
    金融機関の保有する有価証券等を日本銀行が買い入れることで、通貨を日本銀行から市場へ移動させる操作。市中に出回る通貨量が増加するので、金融を緩和し、金利を引き下げる効果がある。
    売りオペレーション(通称、売りオペ)
    日本銀行が保有する有価証券等を金融機関に売却することで、通貨を市場から日本銀行へ移動させる操作。市中に出回る通貨量が減少するので、金融を引き締め、金利を引き上げる効果がある。
したがって不適切な記述は[1]です。