FP2級過去問題 2019年9月学科試験 問21

問21

日本円・米ドル間の為替相場の変動要因等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 購買力平価説によれば、米国と日本に同じ財があり、その財を米国では2米ドル、日本では220円で買える場合、為替レートは1米ドル=110円が妥当と考える。
  2. 米国の物価が日本と比較して相対的に上昇することは、一般に、円安米ドル高要因となる。
  3. 日本の対米貿易黒字の拡大は、一般に、円高米ドル安要因となる。
  4. 米国が政策金利を引き上げ、日本との金利差が拡大することは、一般に、円安米ドル高要因となる。

正解 2

問題難易度
肢18.0%
肢245.9%
肢325.1%
肢421.0%

解説

  1. 適切。購買力平価説とは、2国間の購買力の比率が為替レートの決定要因となるとする理論です。具体的には、2国間で同じものを買うときの価格を比べることで適正な為替レートを導きます。本肢の例では、同じものを買うとき、日本では220円、米国では2米ドルですから、1米ドルは「220円÷2ドル=110円」が妥当と考えます。
    購買力平価説に基づく為替レートは、実際の為替レートとは一致しませんが指標として使われることがあります。世界中のビッグマック1個の価格を基準にした「ビッグマック指数」も購買力平価説の考え方を応用した指標です。
  2. [不適切]。米国内で物価が上昇すると、米国内の物の価値は上がり、相対的に通貨の価値が下がることになるので、物価上昇率が相対的に低い日本に対しては円高米ドル安の要因となります。
    日本の物価が米国と比較して相対的に上昇することは、一般に円高米ドル安の要因となる。2023.5-21-1
    日本の物価が米国と比較して相対的に上昇することは、一般に、円安要因となる。2022.9-21-2
    日本の対米貿易黒字の拡大は、一般に、円高米ドル安要因となる。2019.9-21-3
    日本の物価が米国と比較して相対的に上昇し、過度なインフレが予想されるとき、一般に、円高傾向となる。2017.9-21-4
  3. 適切。貿易黒字とは、国内から海外への輸出額が、海外から国内への輸入額を上回っている状態です。貿易黒字が拡大すると、売上として受け取った外貨を円貨に交換する需要が高まるため、円高米ドル安の要因となります。
    日本の物価が米国と比較して相対的に上昇することは、一般に円高米ドル安の要因となる。2023.5-21-1
    日本の物価が米国と比較して相対的に上昇することは、一般に、円安要因となる。2022.9-21-2
    米国の物価が日本と比較して相対的に上昇することは、一般に、円安米ドル高要因となる。2019.9-21-2
    日本の物価が米国と比較して相対的に上昇し、過度なインフレが予想されるとき、一般に、円高傾向となる。2017.9-21-4
  4. 適切。米国が政策金利を引き上げ、日本との金利差が拡大すると、市場は円を売ってドルを買う流れになるので、為替相場は円安米ドル高になります。
    米国が政策金利を引き上げ、日本と米国との金利差が拡大することは、一般に円安米ドル高の要因となる。2023.5-21-2
    米国が政策金利を引き上げることにより、日本と米国との金利差が拡大することは、一般に、円安要因となる。2022.9-21-3
    米国の金利が上昇し日本との金利差の拡大が予想されるとき、一般に、円高傾向となる。2017.9-21-1
    米国が政策金利を引き上げ、日本との金利差が拡大することは、円とドルの為替相場において、円安要因となる。2016.9-21-4
したがって不適切な記述は[2]です。