FP2級過去問題 2022年9月学科試験 問29(改題)

問29

NISAの「成長投資枠」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、特定非課税累積投資契約により設けられた特定非課税管理勘定を「成長投資枠」といい、2023年以前の一般NISA(非課税上場株式等管理契約に係る少額投資非課税制度)により投資収益が非課税となる非課税口座を一般NISA口座という。
  1. 特定口座で保有する上場株式を「成長投資枠」に移管することにより、移管後に生じた当該上場株式の譲渡益は生涯を通じて非課税となる。
  2. 「成長投資枠」で保有する上場株式を売却することで生じた譲渡損失の金額のうち、損益通算してもなお控除しきれない金額は、確定申告を行うことにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。
  3. 「成長投資枠」で保有する上場株式を売却することで生じた譲渡損失の金額は、上場株式の配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択した場合、当該口座で保有する上場株式の配当金の金額と通算することができる。
  4. 2023年末に一般NISAの非課税期間が終了した場合において、その終了時に当該一般NISA口座で保有する金融商品を「成長投資枠」に移すことはできない。

正解 4

問題難易度
肢114.6%
肢29.5%
肢38.5%
肢467.4%

解説

  1. 不適切。特定口座や一般口座で保有している上場株式を、NISA口座に移管することはできません。逆にNISA口座で保有している金融商品を、特定口座や一般口座に移すことは可能です。
    特定口座で保有する上場株式をNISA口座に設定される特定非課税管理勘定に移管することにより、移管後生じた当該上場株式の譲渡益は非課税となる。2020.9-28-2
  2. 不適切。NISA口座で生じた譲渡損失はなかったものとされるので、一般口座や特定口座で生じた譲渡益や配当金との損益通算をすることはできません。また、繰越控除も利用できません。
    「成長投資枠」で保有する上場株式等を売却することにより生じた損失は、確定申告をすることにより、翌年以降3年間繰り越すことができる。2017.1-28-3
  3. 不適切。株式数比例配分方式とは、配当金などを証券口座で受け取る方法のことで、NISA口座で配当金を非課税とするための条件となっています。株式数比例配分方式を選択していても、NISA口座で生じた譲渡損失はなかったものとされることは変わりませんから、NISA口座内の配当金と損益通算することはできません。
  4. [適切]。一般NISAから新NISA制度の非課税枠にロールオーバーすることはできません。2023年までの一般NISA口座では、非課税期間の5年間が終了したときに、その時価にかかわらず翌年の非課税投資枠に移すこと(ロールオーバー)ができましたが、新NISA制度では非課税期間が恒久化されたのでロールオーバーは廃止されます。
したがって適切な記述は[4]です。