FP2級 2024年5月 実技(金財:生保)問13

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】

問13

Aさんの相続に関する次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
  1. 「ご家族の仲が良好であっても、相続開始後に遺産分割で揉めることがないように備えておくことが大切です。相続税の申告期限までに遺産分割協議が調わなかった場合、分割されていない財産について、相続税の申告時において『配偶者に対する相続税額の軽減』や『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けることができません」
  2. 「円滑な遺産分割のため、遺言書の作成をお勧めします。公正証書遺言は、作成された遺言書の原本が家庭裁判所に保管されるため、紛失や改ざんのおそれがなく、安全性が高い遺言といえます」
  3. 「遺言書を作成する際は、各相続人の遺留分に留意する必要があります。仮に、Aさんの相続に係る遺留分を算定するための財産の価額を3億4,000万円とした場合、二男Dさんの遺留分の金額は、8,500万円となります」
  4. 「二男Dさんに対する代償交付金を準備する方法として、契約者(=保険料負担者)および被保険者をAさん、死亡保険金受取人を長男Cさんとする一時払終身保険に加入する方法があります。ただし、死亡保険金は、特段の事情がない限り、遺留分を算定するための財産に含まれますので、保険金額について十分に検討する必要があります」

正解 

×××

分野

科目:F.相続・事業承継
細目:3.相続と法律

解説

  1. 〇適切。申告期限までに遺産分割が終わっていない場合、基本的に未分割の財産については税額軽減などの適用を受けられません。しかし、遺産分割に時間を要するケースもあるため、「申告期限後3年以内の分割見込書」を相続税の申告期限までに提出して、実際に3年以内に分割すれば遡って適用を受けることができることになっています。
  2. ×不適切。家庭裁判所ではありません。公正証書遺言の原本が保管されるのは公証役場です。公正証書遺言は、遺言者の後述した内容をもとに法律の専門家である公証人が筆記して作成するので、確実に法に則った遺言書を作成できる利点もあります。
  3. ×不適切。Aさんが死亡した場合、相続人はBさん・Cさん・Dさんの3人です。相続人が配偶者と子の場合、遺留分全体は相続財産の2分の1なので「3憶4,000万円×1/2=1億7,000万円」、これに各人の法定相続分を乗じたものがその人の遺留分となります。二男Dさんの法定相続分は「1/2×1/2=1/4」なので、二男Dさんの遺留分の金額は「1億7,000万円×1/4=4,250万円」です。
  4. ×不適切。死亡保険金は受取人の固有財産なので、原則として遺留分算定基礎となる相続財産に含まれません。よって、保険金額を設定する際に遺留分を考慮する必要はありません。生命保険は特定の人に財産を遺す方法として有効です。