FP2級過去問題 2025年1月学科試験 問9

問9

リタイアメントプランニング等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 金融機関のリバースモーゲージは、通常、利用者が自宅に住み続けながらその不動産を担保に資金を借り入れ、利用者の死亡後に、その不動産の売却等により借入金を返済する仕組みである。
  2. 老後生活資金として一定期間、毎年一定額を受け取るために必要な元本を計算する際、毎年受け取りたい金額に乗じる係数は年金現価係数である。
  3. 将来、本人の判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ本人が選任した者と締結する任意後見契約は、所定の様式の公正証書によってしなければならない。
  4. 定年年齢を75歳未満に定めている事業主は、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づき、雇用する高年齢者の75歳までの雇用確保のため、所定の措置を講じるよう努めなければならない。

正解 4

問題難易度
肢18.9%
肢224.0%
肢320.7%
肢446.4%

解説

  1. 適切。リバースモーゲージ(Reverse Mortgage)とは、保有している住宅を担保に、一時金または年金形式で融資を受ける仕組みです。債務者の生存中の返済は利息のみなど低額に抑え、債務者の死亡後にその住宅を売却等により現金化して一括返済します。
    リバースモーゲージの契約形態には、売却しても残った借入金債務について、相続人が返済義務を負うリコース型(遡及型)と、返済義務を負わないノンリコース型(非遡及型)があり、リコース型に比べノンリコース型のほうが金利が高い傾向にあります。
    金融機関のリバースモーゲージは、通常、利用者が自宅に住み続けながらその不動産を担保に資金を借り入れ、利用者の死亡後に、その不動産の売却等により借入金を返済する仕組みである。2021.9-9-3
  2. 適切。年金現価係数は、一定期間にわたり毎年一定額を受け取るために必要な元本を求めるために使用される係数です。毎年一定額を受け取るために必要な元本を計算する係数として適切といえます。
    1/307.png/image-size:154×134
  3. 適切。任意後見契約は、将来、認知症などで判断能力が不十分になったときに、本人に代わって財産管理や契約をしてくれる人を選任しておくものです。任意後見に関する法律により、法務省令で定める様式の公正証書によって締結しなくてならないと定められています。本人の意思で締結しているか、契約内容が法律に則ったものかなどを公証人が確認した上で契約をさせることで、悪用を防ぐ目的があります。
    将来、本人の判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ本人自らが選んだ者と締結する任意後見契約は、公正証書によってしなければならない。2024.5-10-1
    将来、本人の判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ本人が選任した者と締結する任意後見契約は、公正証書によらない場合であっても有効である。2023.9-9-3
    将来、本人の判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ自らが選任した者と任意後見契約を締結する場合、その契約は、必ずしも公正証書によって締結しなくともよい。2021.9-9-1
  4. [不適切]。75歳ではありません。高年齢者雇用安定法では、事業主に対してその雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、次のいずれかの措置を実施するよう義務付けています。さらに、定年を65歳以上70歳未満にしている事業では、上記に加えて70歳まで就業確保について①~③の措置を講じることを努力する義務が規定されています。
    1. 定年の引上げ
    2. 定年の定めの廃止
    3. 継続雇用制度の導入
    定年年齢を65歳未満に定めている事業主は、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第9条に基づき、雇用する高年齢者の65歳までの雇用確保のため、「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」「定年の定めの廃止」のいずれかの措置を講じなければならない。2021.9-9-2
したがって不適切な記述は[4]です。