FP2級過去問題 2025年1月学科試験 問57

問57

小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(以下「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要な要件等はすべて満たしているものとする。
  1. 被相続人から相続時精算課税の適用を受けて贈与により取得した宅地等の価額が相続税の課税価格に加算される場合、当該宅地等については本特例の適用を受けることができない。
  2. 被相続人が月極駐車場(アスファルト等の構築物のない青空駐車場)の用に供していた土地を相続により取得した場合、当該土地について本特例の適用を受けることができる。
  3. 相続人以外の親族が被相続人から宅地を遺贈により取得した場合、当該宅地について本特例の適用を受けることができない。
  4. 相続開始の直前において被相続人と同居していなかった被相続人の配偶者が、被相続人が居住の用に供していた宅地を相続により取得した場合、当該宅地について本特例の適用を受けることはできない。

正解 1

問題難易度
肢124.7%
肢221.2%
肢323.9%
肢430.2%

解説

  1. [適切]。小規模宅地等の評価減の特例の適用対象となるのは、相続・遺贈により取得した土地に限られます。相続時精算課税制度の適用を受けて取得したということは、被相続人の生前に取得した財産ですから本特例の対象となりません。同じように、相続開始前7年以内の贈与財産が相続税の課税価格に加算される場合も、本特例の適用を受けることはできません。
  2. 不適切。小規模宅地等の評価減の特例では、他人に貸し付けていた宅地も対象となりますが、特例の適用となるのは「宅地」なので、一定の建物または構築物の敷地になっていることが前提となります。したがって、本肢のように構築物が存しない青空駐車場では、本特例の適用を受けることができません。駐車場の場合、立体駐車場、アスファルトの施設、コインパーキング設備の設置などがあれば、本特例の対象となります。
  3. 不適切。本特例の適用を受けることができる人は「被相続人の親族」とされており、相続人に限られません。したがって、遺贈により宅地を取得したのが相続人以外の親族である場合も適用を受けることができます。
    相続人以外の親族が、被相続人が居住の用に供していた宅地を遺贈により取得した場合であっても、本特例の適用を受けることができる。2023.1-59-4
  4. 不適切。特定居住用宅地等を被相続人の「配偶者」が取得した場合、無条件で本特例の適用を受けることができます。相続開始前に被相続人と同居していなくても、相続税の申告期限までに宅地を売却して手放していても、配偶者は本特例の適用を受けられます。
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    相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地を相続により取得した被相続人の配偶者は、相続税の申告期限までに当該宅地を売却した場合であっても、本特例の適用を受けることができる。2024.5-59-1
    相続開始直前において被相続人および被相続人の配偶者の居住の用に供されていた宅地を相続により取得した被相続人の子が、当該宅地を相続開始後に初めて自己の居住の用に供し、相続税の申告期限まで所有していた場合、本特例の適用を受けることができる。2024.5-59-3
    相続開始直前において被相続人と生計を一にする被相続人の母の居住の用に供されていた宅地を相続により取得した被相続人の配偶者は、本特例の適用を受けることができる。2024.5-59-4
    被相続人の配偶者が、被相続人が居住の用に供していた宅地を相続により取得した場合、相続税の申告期限までにその宅地を売却したとしても、本特例の適用を受けることができる。2023.1-59-1
    相続開始の直前において被相続人と同居していなかった被相続人の配偶者が、被相続人が居住の用に供していた宅地を相続により取得した場合、本特例の適用を受けることはできない。2023.1-59-2
したがって適切な記述は[1]です。