FP2級 2025年1月 実技(金財:個人)問12

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】

問12

X社が提案する賃貸マンション事業に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
  1. 「マスターリース契約(特定賃貸借契約)において、賃料が保証されている場合、その契約が普通借家契約であれば、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律や借地借家法に基づき、AさんがX社から経済事情の変動による賃料の減額請求を受けることはありません」
  2. 「Aさんが、マスターリース契約(特定賃貸借契約)に基づき、X社に建物を一括賃貸する場合は、宅地建物取引業の免許は不要ですが、Aさん自ら建物の管理や入居者の募集、入居者との賃貸借契約を行う場合は、あらかじめ宅地建物取引業の免許を取得する必要があります」
  3. 「Aさんが、金融機関から融資を受けて賃貸マンションを建築する場合、借入金の返済リスクを考慮する必要があります。DSCR(借入金償還余裕率)の値が1.0未満のときは、賃料収入だけでは借入金の返済が困難であることを示しています」

正解 

××

分野

科目:E.不動産
細目:6.不動産の賃貸

解説

  1. ×不適切。普通借家契約では賃料増減額請求権があり、借主側から減額請求する権利は特約によっても排除することができません。特定賃貸借契約(マスターリース契約)で一括借り上げする側はプロの業者ですからそのことは当然に知っていて、支払う家賃が近隣相場と比較して不相当になった場合には賃料減額を請求してきます。家賃保証を謳っていても、当初予定の家賃が保証されるわけではないので注意が必要です。
  2. ×不適切。他人から委託を受けて宅地建物の賃貸借契約の代理・媒介を行う場合には宅地建物取引業の免許が、他人から委託を受けて一定戸数以上の賃貸住宅の管理を行う場合には賃貸住宅管理業の登録が必要となります。
    Aさんのように自分の所有する物件の貸借や管理を自ら行うこと(いわゆる大家業)は、宅地建物取引業には当たらないので免許は不要です。業者とマスターリース契約を締結して一括して貸す場合にも、自ら貸主となる取引であることに変わりはありませんから、同様に免許は不要です。
  3. 〇適切。DSCR(借入金償還余裕率)は、借入金返済の安全性を測る指標で「NOI(正味利益)÷元利金返済額」の式で計算します。1.0未満ということは、賃料経営の正味利益よりも借入金返済額が多いということなので、賃料収入だけでは借入金の返済が困難であることを示します。