相続あれこれ

マルさん
(No.1)
みなさん、勉強お疲れ様です。

今回のこの記事は頑張ってる人の少しでも助けになればと立てたスレ第8弾です。
興味がない方は素通りしてけっこうです。
この応援スレも第8弾まで来ました。

今回のテーマは、「相続あれこれ」とでも題しましょうか?
特に放棄や遺留分に絡んだお話をします。

テーマを3つに分けます。
①被相続人と相続人が同時に死亡したらどうなるの?
②被相続人が死亡する前に相続放棄はできるの?に絡んだ話
③遺留分は放棄できるの?

まず①の被相続人と相続人が同時に死亡したらどうなるの?について説明します。
よく飛行機事故や今回の知床の観光船事故(痛ましい事件ですね、本当に犠牲になられた方には心よりお悔やみ申し上げます)などのように、被相続人と相続人が同じ飛行機や船に乗り合わせていて事故が起こった場合、どちらが先に死亡したか明らかでない場合は「同時に死亡した」と推定されます。この推定と言うのは一応そう決めると言う法律用語で、反対の証拠が出てくれば覆ります。
似たようなのに「みなす」がよく対比されて出されるのですが、「みなす」だと反対の証拠が出てきても覆りません。
さて、この同時死亡の推定の場合、代襲相続はどうなるんでしょう?
代襲相続は、相続人が被相続人より先に死んでいた場合と規定されています。しかし、この同時死亡の推定の場合は、代襲相続はされます。だから父と子が同じ飛行機に乗り合わせていて事故が起こった場合、どちらが先に亡くなったかわからない場合は同時に死亡したと推定されて、孫が代襲相続人になります。

次に②「被相続人が死亡する前に相続放棄はできるの?」に絡んだ話です。
被相続人が死亡する前のまだ相続が開始されていない段階での相続放棄はできません。
少し話が変わりますが相続人になれない条件の中に「廃除」と言うのがあります。
例をあげると被相続人(親)を相続人(子)が虐待している場合、被相続人としてはこんな子に自分の財産を相続させたくないと思うでしょう。そんな時に使う手段がこの廃除です。本当にそんな事実があるのかチェックする必要がありますので、家庭裁判所へ廃除を請求する必要があります。この廃除の請求は被相続人が生きている場合にできることはもちろん、遺言でもすることができます。

最後の③遺留分は放棄できるの?です。
もちろんできます。被相続人の死亡前(つまりまだ相続開始前)であっても「遺留分」の放棄はできます。先ほど相続開始前に相続放棄できないと書きましたが、遺留分は違います。遺留分は生前でも放棄できます。
ただし相続開始前の遺留分の放棄は家庭裁判所の許可がいります。なぜかと言うと被相続人の圧力に屈して遺留分を放棄することがないように家庭裁判所がチェックするためです。
例えが適切ではないかもしれませんが、愛人にどうしても全財産を渡したい場合、遺言も書きますが、推定相続人(将来法定相続人になる予定の人)の子供たちに向かって「良いから遺留分を放棄しろ」と脅して放棄することがないようにです。
ついでに遺留分侵害額請求も補足します。この遺留分侵害額請求は相続人固有の権利なので、侵害された者が共同で請求するものではなく、各自単独で請求できます。さらにこの遺留分侵害額請求権を譲ることもできます。また別に裁判を起こす必要はなく「遺留分侵害額○円を払ってください」と相手に意思表示するだけでOKです。
2022.05.15 17:51
マルさん
(No.2)
もう一つ書き忘れた論点について、補足したいと思います。

それは何かと言うと「配偶者居住権」です。
配偶者居住権とは夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者が亡くなった人が所有していた建物に、死ぬまでまたは一定の期間、無償で住み続けられる権利です。
この配偶者居住権は2020年4月に施行された比較的新しい権利なんですが、この権利ができた背景には次のような事があったためです。
実は長らく非嫡出子(法律上婚姻関係にない夫婦から生まれた子)の相続分は嫡出子(法律上婚姻関係にある夫婦から生まれた子)の相続分の1/2でした。
まあ、表現が適切ではありませんが、愛人の子の法定相続分は正妻の子の半分だったんです。みなさんお使いのテキストには非嫡出子も嫡出子も同じ割合としっかり書いてあると思います。
そうなんです。元々1/2としていた法律の規定は「法の下の平等に反している」と最高裁判所が2013年に違憲判決を出しました。それを受けて法律改正され、今のように「非嫡出子も嫡出子の法定相続分は同じ」となりました。

しかし、これによってこういう自体が生じる事が懸念されました。
例を上げましょう。
夫婦が夫所有の家に一緒に暮らしていました。実はこの夫にはよそに非嫡出子が1人いました。
さて夫が亡くなり相続が開始されました。
遺産分割協議で非嫡出子の子は、今まで冷遇された仕返しとばかりに残された正妻にこう言いました。
「私が家を相続します。私の所有になるので、家から出ていって下さい」と。

正妻である配偶者は、長年住み慣れた家を出ていかないといけなくなります。
これでは残された配偶者は困ります。
なので、配偶者居住権というものが生まれました。
家の所有権と切り離して、残された配偶者には住み続ける権利を与えました。
つまり、先ほどの例でいくと家の所有権は非嫡出子が相続しましたが、残された正妻には家を「使用、収益する」権利を与えたんです。

「使用、収益」できる権利ですから、家に住み続けたり、家を人に貸して家賃収入を得ることはできますが、家を売るなどの「処分」はできません。
さらに第三者に対抗するには登記も必要です。登記は権利部の乙区に登記されます。ちなみにこの配偶者居住権の登記は家に対してだけですから、敷地になっている土地に対してはできません。
ただデメリットもあるんですよ。
最高でその配偶者が死ぬまで住み続けられる配偶者居住権ですが、途中で気が変わって老人ホームなどに移ろうと考えた場合、配偶者居住権を放棄します。すると、所有権者に対して贈与税がかかることになります。

配偶者居住権の評価額の計算方法は2級の範囲を超えてますので、割愛しますが、こういうデメリットもあることも知っておいて下さい。
2022.05.15 19:35
しばいぬさん
(No.3)
この投稿は投稿者により削除されました。(2022.05.15 20:45)
2022.05.15 20:45

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